家、三匹の子ぶたが間違っていたこと

【三匹の子ぶた vol.19】〜「構造計算」しない木造住宅に潜む三つの大問題〜

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あなたの家は「構造計算」されていますか?

〜「構造計算」しない木造住宅に潜む三つの大問題〜

壁量規定に潜む危険性は具体的には以下のようなことである。

その1「構造柱、梁の強度」

まず、現在の規定では、柱の太さと本数・梁の大きさは調べないことになっている。たとえば、前述の「積雪荷重」。雪が30センチ積もると屋根には六トン程度の重さがかかるが、柱の太さや本数・梁の大きさなどを調べてなければ、本当に必要な重さに見合った材料なのかわからない。どんな太さの柱や梁でもいいとなれば、多雪地域では恐ろしいことになる。ちなみに、私自身このことについて、あまりにもおかしいと思い、国土交通省(当時の建設省)の方に質問したことがある。その答えは、「低層木造住宅(2階建て)においては、雪下ろしをすることが前提である」。したがって、屋根に1メートル雪が積もることを想定しなくてもよいと考えている、ということだった。 問題は雪だけではない。家を支える柱の太さは九センチ以上であれば、太さや数はこのルール(壁量規定)では不問となっている。2階から上の重さ(20トン以上)を支える柱は、基本的に均等に配置されなければ危険であることは言うまでもないが、現代のリビングルームは広くなっているので、家の中央には柱がないケースが非常に多い。地震時に「柱が折れた」とか「柱が抜けて家が倒壊した」という例が多いのはこのためである。 梁も同じである。リビングが大きくなればスパン(梁の長さ)は大きくなり、大きな梁背(梁の断面)が要求されるが、これにも詳細なルールがないので、大工さんの勘と経験に委ねられている。

その2「筋交いの有効性がわからない」

2つ目に、地震が来たときに本当に「筋交いが有効に作用するか」がわかっていないのだ。ただ本数を調べても前述のように建物の重さを調べていないので、地震時にかかる力はわからない。また、どのように力が伝わるか調べていないので、どこに「筋交い」を入れれば耐震性が上がるのか定かでないのである。実際に、最近増えている吹き抜けの多い建物では筋交いを規定数入れても、まったく耐震性が確保できない例が多くある。筋交いが十分な力を発揮するためには、十分な強さの床(水平構面)が必要となる。ところが、この床の強さチェックは、建築基準法の「壁量規定」には含まれていない。 わかりやすいように図解しよう。

その3「壁量規定では雑壁と呼ばれる架空の壁を計算に入れている」

実際に、壁量規定によって設計された木造二階建て住宅を、通常の構造計算(ルート2の規定)で計算してみたことがある。すると、なんと30%ほど耐震性が足りなかったことが判明した。 「姉歯物件だ!」と大騒ぎしてはいけない。これは、雑壁効果と呼ばれるもので、規定で認められたものである。これについても2000年当時、壁量規定改定を議論している大学教授に質問した。 「実際に筋交いが入っていなくても、建物にはたれ壁(特にキッチンのまわりにある30センチ程度の天井から下がっている壁)、サッシの上にある壁(アルミサッシを取り付けたときにできる天井からサッシまでの短い壁)、らん間(昔のつづき和室の境にある天井板と鴨居の間の空間のこと)やその他の材料が、地震のときに建物が壊れないように抵抗することがある。その効果を期待して、構造計算する物件より30%地震力を少なく見積もることを木造建築では許している」とのこと。 あまりありがたくないルールだが、木造住宅を安くつくるためには十分貢献している。もちろん通常の構造計算にはこんな、あるかないかわからないものに期待するようなルールはありえない。 もし、雑壁に耐震性があると計算するのであれば、雑壁の場所を確認し、大きさや効果を計算するのが一般常識というもの。しかし木造における壁量規定にはその常識はない。くれぐれも申し上げるが、30%足りなくても違法建築ではない。善良な業者によってルールどおりにつくられた木造住宅の耐震性は、この、あるのかないのかわからない雑壁にかかっている。運よく雑壁が効果的な場所に存在する住宅は耐震性があって倒壊しないが、運悪く雑壁がなかった家は姉歯物件と同じ結論になるのである。

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