神戸市北区上津台で開催された里山住宅博は、木造建売住宅の展示場で、会期終了後は、「上津台百年集落街区」という自治会組織を持った住宅地となる。独自の建築協定を定め、1軒あたり約100坪の里山を共同所有するなど、特徴ある街づくりも注目されている。
このプロジェクトには、ダイナミックなプレゼンテーションをする機会が少ない、中小規模の工務店が次々と名乗りをあげた。フクダ・ロングライフデザインの代表である福田さんもその一人で、自分たちの理想を打ち出した建売住宅をつくり、実績を告知できる点に魅力を感じたそうだ。
住宅を建てるに際して、福田さんは効率的な温熱環境性能を重視した。上津台は、大阪市内に比べると年平均気温が2 度くらい低く、いちばん寒いときではー5℃を記録するという。よって外壁はダブル断熱に、開口部には複層ガラスや真空トリプルガラスを用いて高気密高断熱化しており、床下冷暖房システムの効率よい温度調整を可能にした。
間取りからは当社の美学がうかがえる。1階は北側に書斎、トイレ、キッチンをおさめ、南側のリビングとダイニングの間には玄関と2階へ上がる階段を配置することで、にぎわうダイニングとくつろぐリビングという目的を明確にし、空間に独立性を持たせた。
立地の最大のみどころである里山の眺望は、リビングでゆったり楽しめるようにし、連続した外部デッキはその特等席となっている。美学がいきた空間構成と環境性能が両立した住宅である。
設計・SE施工
フクダ・ロングライフデザイン株式会社 / https://www.fukuda-lld.jp/