豊明X邸は、愛知県豊明市に建つ若い夫婦の住宅である。Xさんは、空間を壁で仕切って部屋をFIXしてしまうような住宅ではなく、常に変化する人の暮らし方や考え方を受け止めてくれるような家がいい、という強いイメージを持っていた。
例えるなら工場のような大きな空間の中に、自由に動かすことができる部屋を配置する感覚だ。それはまさにSE構法が得意とするスケルトン&インフィルの空間設計であったため、画一的な間取りとなる住宅メーカーではなく自由設計の家を選んだ。
プランニングの必要条件は主に2つあった。自宅を建てる土地は、豊かな自然が見渡せる地の利があったため、眺望を生かす空間設計であること、またXさんのカーデザイナーという職業柄、2台停められるビルトインガレージを設置するというものだ。
東側のアプローチを経てエントランスを入ると、右手が前述のガレージ、左手はフリースペースと子ども室が2室並ぶ。子ども室は上部にロフトを設けた。
2階のLDKはぐるっと良い景色が広がり、開放的である。キッチンは景色を楽しみながら調理ができるアイランド型だ。この高い視点を得るために、2階の床レベルを上げて対応した。結果的に1階の階高は3,950mmとなり、階段は20段となっている。
壁や天井は家具や什器などが映えるよう、木のテクスチャーが現れてくることを避け、無機質にコントロールされている。Xさんが思い描いていた住宅イメージが実現化した住まいが完成した。