建て主のNさんは、もともと大阪の中心部へのアクセスが良い豊中市に住んでいたが、コロナ禍でリモートワークが中心となったことをきっかけに、同じ予算でも自然豊かで広い土地を入手できる川西市へ転居した。
新築にあたって重視したのは、家や土地の資産価値よりも質の高い生活環境だ。子ども達が不自由なく遊べ、夫婦それぞれの趣味空間があり、バーベキューができる庭があること、つまりところどころに家族の居場所がある家を目指した。
要望を受けたひかり工務店が提案したのは、生活空間や趣味の空間をひとつの箱のように区分けし、中庭を囲むように各箱をぐるりと配置したゾーニングだった。そして、道路に面している部屋の壁に窓は設けず、中庭に向かって大きく開口部をとる。こうすることで、プライバシーを確保しながら光と風を呼び込み、解放感のある空間としたのである。
1階は、ゴルフルーム、キッチンとダイニング、リビング、和室が円状に連なり、玄関に隣接してインナーガレージ。2階は水回りと主寝室、2つの子ども部屋からなっている。1階のすべての部屋が中庭に面しているため景観は良い。外観はそれぞれの箱によって壁面の質感やカラーが異なり、アート施設のような雰囲気だ。
Nさんによると中庭で薪をくべながらゆったりと星空を眺めているそうで、川西市ならではの環境を楽しむことにぬかりはない。この家は家族の暮らしと人生をより豊かにするパートナーとしての役割を担っている。