大手のハウスメーカーや設計事務所と異なり、営業職を置いていないというネイエ設計。そのモデルハウスはひと味違った趣をかもしていて、見学に訪れる人を驚かせているという。
その原因は、建築学科出身の設計士が接客も担当すること、そして大手事務所では一般的な事務所間で共有される標準的なディテールの仕様が存在しないことによる。
ネイエ設計が共有しているのは設計思想だ。ブランド名の由来でもある「ていねいにつくること」にくわえ、「内と外を連続させた空間」、「モダンな和風」、「シンプルな空間」など。これらの理念と空間形成の指針にのっとっていれば、各設計士は自由にプランニングできるのだ。
通常のモデルハウスは、顧客の要望を刺激する分かりやすい要素やユニットによって構成される「見本市」となっていて、顧客はそのなかから必要なものを選択してプランを決めていく。
それに対してネイエ設計のモデルハウスは、住空間の思考的表現の場といっていい。「熱田モデル」では、ダイニングを囲むようにL字の中庭を配し、床を外装に用いられる「石の割り肌」にすることで、外と内の連続性を強調。
さらに、スタンダードなLDKを少し分解し、畳と和紙張りの建具を用いてリビングに和の要素を取り入れ、独立性をもたせた。それは「複数の居場所」がゆるやかにつながる空間の提案である。これら理由から出発する家づくりは、独自性に重きを置く顧客をひきつけてやまない。
設計・施工
株式会社洞口 ネイエ設計 / https://horaguchi.cc/