こちらの住宅は、野澤工務店の注文住宅事業である「AGING WELL」のモデルハウス兼、常務取締役の野澤星羽さんの自邸でもある。
野澤星羽さんには同社で専務取締役を務める兄の万里さんがいて、二人はそれぞれ社寺仏閣なども扱う大工の棟梁たちのもとで修行を積み、建築士の資格を取って家業を継ぐため帰ってきた。そして現在「AGING WELL(素敵に歳を重ねる)」というテーマを打ち出し、「素材にこだわって長く住み継げる家づくり」を進めているのだ。
モデルハウスはSE構法で作られている。
生粋の大工でありながら、現場で材木のクセを調節しながら加工していく「手刻み」ではなく、なぜSE構法を選んだかといえば、強度と正確さでより信頼が置けるためだという。SE構法は、図面通りに正確に材木を組み上げることができるため、機密性や断熱性をより高く再現できるとの判断だ。
建物はL字型で、1階の北側にLDK、西側に水まわりと納戸。2階は洋室と壁のないホールとランドリースペースになっている。躯体がSE構法であるため、2階は住み手の必要に応じて、吹き抜け部分を床にしたり、壁を設けて個室にすることもできる。この可変性は長く住み続けるためにも不可欠だ。
1階の庭には、階段状のデッキと、その上には深い軒。庭の塀にはミニキッチンを取り付けて、家族が日差しを気にせず、庭でゆったりくつろげるようになっている。本宅は、木の風情と高い機能性、利便性が融合した、新しい日本家屋なのだ。