沖縄の現代建築は、戸建て住宅でもほとんどがRC(コンクリート)造で、木造住宅の比率は近年でも2割といわれている。戦前は伝統的な木造住宅が主流だったが、戦争で森林が消えたことと米軍基地需要が重なり、RC造の技術が地元に定着した。それが台風や塩害、シロアリ被害に有効だとされ普及したのである。
しかし、設計施工を担当したアースティックと提携する駆除業者によれば、RC造でもシロアリ被害は出るとのこと。ゆえに問題なのは構造形式ではなく点検のしやすさとその頻度なのだった。
那覇市のとなりにある尻郡南風原町にて行われた今回のプロジェクトは、当初戸建ての分譲住宅が計画されていた。だが敷地の形状と、車が必須で子ども数の多い地域性とに対応するため、たくさんの部屋が作れる3階建てのタウンハウスという形状が選択された。
結果的にザ・プレース宮平テラスは、2棟10戸からなる木造3階建の分譲タウンハウスとなり、1階にはビルトインガレージ+1台分が用意され、玄関奥に1室、2階はLDKで3階はウォークインクロゼットも含めて個室を3室設けている。耐風圧とシロアリ対策を考慮し、念には念を入れて躯体にはヒノキの集成材を用いた特注品が使われた。
輸送手段や品質管理の課題から沖縄進出が今となった木造SE構法の建物だが、RC造より工期が短いため入居する家族にとっては魅力的である。今後はこのような木造のタウンハウスが沖縄にも徐々に増えていくかもしれない。