太三機工株式会社は、上下水道建設用資材、土木建設用資材を主に扱う商社である。土木インフラに関する商材が多いため、営業所は倉庫併設が原則で、そのほとんどは鉄骨造であるという。
もともと倉庫は鉄骨造でつくるものという概念が強い。太三機工株式会社は当初、設計にあたったAN DeSign & Associatesから木造で倉庫をつくる計画であることを伝えられ、「ハードに使用される場で木造で本当に大丈夫なのか」と懸念があったという。それもそのはず「木造」と聞いて人々が思い浮かべるのは、壁と柱の多い在来工法であり、倉庫のイメージとはかけ離れている。
しかし、木造でも構造計算をしているSE構法は、接合部分が頑丈なため地震に強い。柱で空間を遮ることがないため、前後上下に広い倉庫空間をつくることができる。設計担当者は、SE 構法で作ることの利点を丁寧に説明し、現場で組みあがっている構造を見てもらうことで納得を強めてもらったという。
建物は正面から見て左側(南側)がオフィスゾーンで、北側が倉庫ゾーン。中央にエントランスや水回りなどの共用部を配置して両者をつないでいる。
オフィスゾーンの1階は長方形のオフィスで、2階には会議室と応接室がある。会議室はとても広くなっており、これは各営業所で会社の全体会議を持ち回るという太三機工の企業スタイルを反映している。
企業カラーを木造で実現した今回の事例は今後、木造の中規模建築への理解を高めていくことだろう。
設計
AN DeSign & Associates
SE施工
物林株式会社 / https://www.mbr.co.jp/