SE構法の登録施工店である「株式会社新宅工務店」。こちらは設立60周年を記念して建てられた新社屋だ。当社はまず建物のあり方や使い方について社員が考え、ステークホルダーと意見を交換する場を設けた。
キーワードは、地域密着型の「開かれたオフィス」。その実現のためには、社員以外の人間も出入りしやすい解放感のある空間が欠かせない。できるだけ壁を減らし、広々とした空間を構想した。結果的に柱や梁は2本分の太さとなり、これら存在感のある構造体は、空間をグリッド割りするようなデザインの特徴にもなっている。
1階は打合せコーナー、キッチンを備えたギャラリー、奥にセミナールーム。2階には、ホールやオフィスがあり、3階は社員の厚生のスペースとなっていて、下の階になるほど公共性が高くなる。
地元の人たちの目にとまるよう、1階には赤いキッチンカウンターを設けた。床は半分近くが土間となっており、建物の外から内部へとスムーズに誘導させられるようである。土間の仕上げはコンクリートの表面を研ぎ出して骨材の断面を見せたもの。無骨なようで手間をかけた職人仕事が見てとれる。
新社屋では、クライアントや協力業者を交えた懇親会なども開かれ、ギャラリーやセミナールームは時間貸しも行うという。工務店がまちへと開き、公民館のような役割をになうことで、交流や賑わいを創出していく。これが新しい「地域密着型の工務店」の姿なのかもしれない。
設計・施工
株式会社 新宅工務店