埼玉県川口市に本社をかまえるECO HOUSE株式会社。代表取締役である松岡氏が建て主となったこちらの住宅は、外観も内装も木のぬくもりにあふれているが、見えないところに使われている断熱材も木製だ。
松岡氏が工務店を興した1980年代の住宅性能は、今のように高い断熱性能を有しておらず結露が発生していた。松岡氏は結露を抑えるため、北国の建築に学び、海外視察を重ね、ついにドイツで高機密・高断熱を実現している断熱板「エコボード」に出会う。エコボードは強度、遮熱性、防音性、耐水性、防蟻性に優れており、すべて自然素材で成形されているため人体への影響が少ないという利点も持ち合わせていた。
この住宅はそのエコボードを使い、大きな開口部にはドイツ製の3重ガラス木製窓をはめることで高い機密性能を獲得。軽井沢という寒冷地にありながら、空調機や床暖房などは備えず、PS輻射冷暖房パネルを数カ所設置しているのみ。それでも十分暖かく過ごすことができ、それを実証するための住宅でもあるそうだ。
1階の間取りはLDKと水回り、個室が2部屋。2階は壁や柱のない大空間のロフトが広がる。天井は、1階2階とも片流れの勾配屋根でシンプルな美しさをたたえている。
ECO HOUSEは現在、建材から石油化学製品を排除し、室温を輻射熱で調節する事例を多く手がけている。高気密高断熱住宅の追求は、結果的に暮らす人の身体にも心地よい環境を提供することになった。