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株式会社エヌ・シー・エヌ

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SE CONSTRUCTION耐震構法SE構法

大規模木造から生まれたSE構法を徹底解説(システム編)

  • 大規模木造から生まれたSE構法を徹底解説(システム編) -

「脱炭素」は全世界で取り組むべき課題となっています。建築実務者には木材活用の意義や方法を発注者に伝えて、カーボンニュートラル実現の大きな目標に向かって取り組みを進めていくことが求められています。近年、木造の構造技術が進んで、大規模な建築物が木造でも建てられるようになりました。耐震構法SE構法は大規模な木造建築物の技術を基に開発された技術です。耐震構法SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな木造建築の実績が増えています。このコラムでは大規模木造に最適なSE構法のシステムについて解説します。

 

<このコラムでわかること>

SE構法の開発ストーリー:きっかけは阪神淡路大震災

SE構法構造設計供給施工システム化されている

SE構法大規模木造メリット非住宅版SE構法構造性能保証制度

SE構法設計自由度が高い

SE構法へのお問合せ、ご相談について

・まとめ

 

SE構法の開発ストーリー:きっかけは阪神淡路大震災

SE構法の開発ストーリー:きっかけは阪神淡路大震災

近年、木造の構造技術が進んで、大規模な建築物が木造でも建てられるようになりました。

耐震構法SE構法(以下、SE構法)は、大規模木造建築物の技術を基に開発された技術です。

SE構法は構造計算された耐震性の高い木造建築を実現する、独自の建築システムです。

SEはSafety Engineering(Engineering For Safety)の略で、「工学的に安全な構法」という意味です。

SE構法が生まれた重要な契機のひとつが阪神淡路大震災です。

「大地震でも絶対に壊れない木造建築を日本中に広めたい」という理念のもと開発され、震災から2年後の1997年、建築基準法第38条建設大臣認定を取得しました。

その後、日本で発生した「中越地震」や「東日本大震災」「熊本地震」において、SE構法で建てられた住宅は1棟も倒壊せず、累計で約26,000棟(2021年までの実績)が建てられた現在に至るまで、1件の事故も起こっていません。

他にも幼稚園や保育園などの教育施設、店舗、事務所、倉庫など多くの大規模木造の実績があります。

SE構法は大工さんが建てていた技術をベースとしている一般の在来木造工法とは構造に対する考え方が大きく異なります。SE構法は「勘」や「経験」のような人によって変わる不確定なものではなく、科学的に数値を裏付けとして開発された、まさに最先端の構造技術なのです。

長野オリンピックでスケート場に使われた「エムウェーブ」

大規模木造の代表的な建築物の一つが長野オリンピックでスケート場に使われた「エムウェーブ」です。この建物の70mにもわたる屋根部分に構造用集成材が使用されています。

この建築の構造設計を担われたのは、構造家の故・播繁氏です。

播氏は長年鹿島建設に勤務されて、建築家の丹下健三氏との協働で赤坂プリンスホテル新館、フジテレビ本社ビルなど大規模建築の構造設計を手掛けた構造家です。

1997年の独立後​は埼玉県立武道館等の公共施設のほか、「SE構法」の開発など木造の耐震化にも取り組んだ方です。

「エムウェーブ」は1998年に長野市で開催された冬季オリンピックのスピードスケート会場として使用されました。外観はドーム的なイメージから脱却した、連峰を思わせる吊り屋根が連続するユニークな形態です。内部は木の文化を表現したカラマツの連子格子の曲線が重なりあう、ダイナミックで温もりのある空間です。

播氏により、木の特徴と日本の木組みを生かしながら、地震に強い木造建築をつくるにはどうしたらよいかが検討されました。

導き出された答えは、構造用集成材を使うことと、材と材の接合部にこれまでにない工夫をすることでした。ポイントは、金物を使いすぎずに、構造的に優れ、施工に際してもいかにシンプルで効率的なものにできるか、またデザインとしてもいかに美しいものに仕上げることができるかが課題でした。

最終的に、楔(くさび)の原理を応用し、ドリフトピン(ボルトの替わりに用いる先がやや細くなっている鋼鉄の棒)を打ち込むことで柱が引き寄せられる仕組みに行き着きました。

阪神淡路大震災から2年、播氏の出した新しい日本の木造建築への答えでした。 この仕組みは後に改良を加えつつ、SE構法として誕生します。

SE構法はまず安全であることを徹底しました。それは大規模木造として絶対に欠かすことができない条件です。

SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな大規模木造の実績が増えています。

SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。

SE構法は全棟構造計算を行い、その安全性を確認するようにしています。構造計算は立体解析で行い、SE構法の接合部等の性能を忠実に反映できる構造システムです。

SE構法専用に開発された「SE-CAD」は、プレカット加工情報や接合部情報(ドリフトピン・SE金物)をすべて立体データで処理できるCADとなっております。SE-CADは梁サイズと接合金物の組合せ等を自動で判定するなど、合理的なCADシステムになっています。

耐力壁は釘間隔によって区分したブレース置換して解析しています。水平剛性は等価部材に置換して、すべての部材において剛性マトリックスによる立体フレーム解析を行っています。

構造計算は許容応力度計算を行い、その構造計算書の出力結果は検定値一覧として安全性をカラー表示して、視覚的に理解することができます。

関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施

 

SE構法は構造設計、供給、施工がシステム化されている

SE構法は構造設計、供給、施工がシステム化されている

木構造として最適な工法が「耐震構法SE構法」です。

SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい大空間、大開口などを実現することができます。SE構法であれば、施設建築で求められるスパンの大きい空間にも対応できますし、架構をシンプルにすることが可能です。

SE構法は、全棟構造計算を実施する構造システムですので、意匠のデザインに合わせて構造計画を決定することができます。

SE構法は、独自のSE金物を使用した断面欠損の少ない構造によって柱と梁とを接合し、優れた耐震性能を実現しています。SE構法は表面にネジ切り加工を施した通常のボルトの約2倍の強さを持つSボルトを木材にねじ込み、高強度のSE金物との組み合わせにより、耐震性の高いラーメン構造を実現しています。

非住宅のプロジェクトを木造で計画する際には、選択した木造の工法に関わらず、「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」というプロセスが必要になります。

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

SE構法が持つ構造スペックをNCNの構造設計スタッフは熟知しておりますので、構造計画の相談においてはレスポンスよく回答、提案しています。空間やデザインの可能性を広げるためにも早めの相談がおすすめです。

大規模木造では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法で、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

大規模木造 プレカット工場

NCNと提携しているSE構法の構造材加工を行うプレカット工場は全国数カ所に存在します。

現在、住宅向けのプレカットは、在来仕口用および在来金物用とも一般化しており、柱や梁の木質部材の梁幅120mm、梁せい450mm、材長6m程度のサイズであれば、ほとんどのプレカット工場で対応可能です。

しかし、中大規模木造向けの部材となると、幅もせいも長さもサイズが大きくなりますので、その加工に対応できるプレカット工場が必要になります。SE構法の構造材の加工を行うプレカット工場では、中大規模木造建築における大断面、大スパン、いろいろな角度や複雑な加工にも対応できます。

SE構法では構造設計データとプレカット加工データで連動するCAD/CAMが実現しており、データがそのまま指定プレカット工場へ送られてプレカット加工を行います。

SE構法は、構造部材の品質基準や性能が明確であることとトレーサビリティが条件となるため、独自の供給体制を整備しています。これに伴い、品質協定を結んだ指定プレカット工場以外からの供給を認めていません。

SE構法は、品質が保証された構造部材を供給しています。プレカットはコンピュータ制御の下、設計図通りにミリ単位の精度で加工されるため、水平・垂直を寸分違わぬように組み立てることが可能です。高い安全性能を約束するために、どこよりも厳格な精度品質を求めています。

SE構法 施工 現場

SE構法では、NCNと技術提携をした建設会社や工務店を対象とした「SE構法登録施工店」制度を設けています。

SE構法登録施工店には、必ず一名以上の「SE構法施工管理技士」という資格を持つ技術者がおります。SE構法施工管理技士の取得には2日間の技術研修を受講する必要があり、修了考査に合格した人のみライセンスが与えられます。

SE構法登録施工店には、さまざまな規模や業務内容の建設会社、工務店が登録しています。資格の更新研修なども実施しており、技術力の研鑽に努めていただいております。

大規模木造建築の施工では、精度の高い基礎の施工や、材料の搬入や建て方の手順なども事前の調整が多く必要で、施工者の選定がポイントとなってきます。

関連記事:「ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由」

 

SE構法の大規模木造のメリット「非住宅版SE構法構造性能保証制度」

【業界初】非住宅版SE構法構造性能保証制度の概要とメリット

非住宅分野において、木造建築は全体における割合はとても少なく、請負金額が大きい非住宅建築は発注者、設計者、施工者が抱えるリスクも高くなります。住宅業界においては、瑕疵担保責任保険制度が義務化されていますが、非住宅分野においては同様の制度は存在せず、建設会社のリスクが高い状況にありました。

 そこでこの度、株式会社エヌ・シー・エヌでは、業界初※の基礎まで含んだ、非住宅の構造品質を標準で担保する保証制度をスタートしました。

 

非住宅版SE構法構造性能保証の3つのポイント

業界初※の非住宅木造建築の基礎及び構造体を対象にした保証制度

②瑕疵保証金額最大1億円 瑕疵保証期間10年間

SE構法で建築された4階建て以下、3,000㎡以下の非住宅物件が対象

 

【非住宅版 SE構法 構造性能保証制度保証範囲】

・SE構法で建設された建物(基礎を含む構造耐力上主要な部分)

・住宅以外の用途

・4階建て以下

・3,000㎡以下

 

※詳細についてはNCNまでお問合せください。

 

構造性能保証のスタートによって、SE構法は構造設計から、材料調達、施工、さらには引き渡し後の構造性能保証までのワンストップサービスによって中大規模木造建築に取り組む設計者・施工者の皆様の課題解決をサポート致します。(SE構法登録施工店以外の皆様もSE構法はご利用可能です、お気軽にお問合せください)

 関連記事:「【業界初】非住宅版SE構法構造性能保証制度の概要とメリット」

 

SE構法は設計の自由度が高い

SE構法で大規模木造を計画するメリットは、木造では構造的に実現が難しいと思われる建築物を実現できることです。代表的なポイントが下記です。

耐火建築物

1.耐火建築物

耐火建築物は、建築基準法上、最高水準の防火性能を有する建築物です。たとえ消火活動が実施されなかったとしても、想定される火災で建物が燃えた後も崩壊せず、自立し続ける性能をもつのが耐火建築物です。木造で耐火建築物を建設することは可能です。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

 

準耐火建築物

2.準耐火建築物

木造は準耐火建築物であれば、建築基準法改正による優遇や、耐火建築物と比較してコストパフォーマンスが向上するなどのメリットが大きくなります。

関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ

 

木造4階建て

3.木造4階建て

都市部の厳しい敷地条件の中、4階建ての計画において鉄骨造ではコストや施工に問題がある場合においても、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。

関連記事:木造4階建てのSE構法の事務所ビルの事例紹介「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

 

混構造(木造+鉄筋コンクリート造)

4.混構造(木造+鉄筋コンクリート造)

全てを木造で成立させることが難しい場合、木造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた混構造として、それぞれの構造の長所を併せ持つ建築物を建設することが可能です。

関連記事:木造と鉄筋コンクリート造の混構造を徹底解説

 

大スパン(トラス)

5.大スパン(トラス)

大スパンの空間を計画するにあたり、単純梁の構造の場合だと、特注材製作による納期、搬入が可能かどうか、コストアップになるなどの問題で、現実的に単純梁を採用することができないことが多いです。一つの選択肢としてトラスは有効な設計手法です。

関連記事:耐震構法SE構法によるトラスで大空間を実現する

 

大スパン(張弦梁)

6.大スパン(張弦梁)

SE構法では一般的に流通している中断面の構造用集成材と鋼材ロッドを用いて張弦梁を構成することで、大断面の特注材を用いるよりもコストダウンを実現し、軽快な印象の大空間を実現できます。

関連記事:耐震構法SE構法では張弦梁を採用して軽快な印象の大空間を実現できる

 

大空間、大開口

7.大空間、大開口

SE構法を構造スペックをうまく活用することで、木造の在来工法では実現が難しい大空間、大開口、大スパン、木造耐火などを実現することができます。

関連記事:SE構法による大開口、大空間、大スパン、木造耐火の事例まとめ

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

 

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

 

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

 

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

 

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

 

SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

まとめ

大規模木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。