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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

ウッドショックが起きても木造化は活発化!最新動向まとめ(2021年7月版)

  • ウッドショックが起きても木造化は活発化!最新動向まとめ(2021年7月版) -

近年、日本では都市建築における木造化・木質化が進んでいますSDGs、脱炭素、ESG投資等の流れもあり、より木造化・木質化を加速させています。その一方でウッドショックなどの世界的なリスクにも直面しています。そうした状況の中でも、木造化・木質化を拡大するための、法改正や各種の施策、補助金・助成金などの動きが活発化しています。このコラムでは、非住宅建築に関する木造化・木質化の最新動向についてお伝えします。(本記事は2021年7月段階での情報です。状況の変化が予想されますので、ご注意をお願いします。)

 

<このコラムでわかること>

脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律

・森林・林業基本計画

・森林・林業基本計画国産材普及につながりウッドショックの備えに

サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)

・日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト2021

・SDGs脱炭素社会ESG投資の視点からも注目される大規模木造

大規模木造SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律

「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」は、低層の公共建築物は原則として木造化を図るというのが主な内容ですが、その動きが民間建築物への木材利用の促進につながることが期待されている法律ですが、このたび名称と共に改正されました。

それが「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」です。法の目的や基本理念にも、「脱炭素社会の実現」という文言が加えられています。

公布は2021年6月18日、施行は2021年10月1日に予定されています。

2050年のカーボンニュートラル実現と脱炭素社会を目指し、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する​法律」を改正したもので、公共建築物だけでなく民間建築物にも積極的に木材を活用し、森林の適正な整備や木材自給率の向上を後押しするものです。

新しい法律の条文には、国や自治体が、木造建築物の設計及び施工に係る先進的な技術の普及の促進、中高層の木造建築物又は大規模な木造建築物の設計及び施工に関する知識及び技能を有する人材の育成、建築用木材及び木造建築物の安全性に関する情報の提供に努めることも明記されています。

公共建築物木材利用促進法の制定から約10年が経過し、国が2019年度に整備した低層公共建築物の木造化率が約90%に達するなど、木造化・木質化は確実に進んでいます。

関連リンク:「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の概要

 

森林・林業基本計画

森林・林業基本計画

政府は2021年6月15日に閣議決定した「森林・林業基本計画」のなかで、建築物向け国産材の利用量を大幅に増やす目標を掲げました。非住宅建築物などにおける木材利用を促しつつ、国産材の供給体制を強化し、需要と供給の両面から目標達成を目指す考えです。

森林・林業基本計画は、森林・林業基本法に基づき、国の森林・林業施策の基本的な方針等を定めるものであり、森林・林業をめぐる情勢の変化等を踏まえ、おおむね5年ごとに変更することとされています。

新たな基本計画では、林業・木材産業が内包する持続性を高めながら成長発展させ、人々が森林の発揮する多面的機能の恩恵を享受できるようにすることを通じて、社会経済生活の向上とカーボンニュートラルに寄与する「グリーン成長」を実現することとし、以下の5つの柱の施策があります。

・森林資源の適正な管理・利用

・「新しい林業」に向けた取組の展開

・木材産業の競争力の強化

・都市等における「第2の森林」づくり

・新たな山村価値の創造

新たな計画では、建築物向け国産材について、2019年に約1800万m3だった利用量を、2030年に約44%増の2600万m3まで引き上げる目標を掲げています。2019年に約47%だった建築用木材の自給率を2030年に約63%まで高める計算です。

関連リンク:「森林・林業基本計画」の詳細

 

森林・林業基本計画が国産材普及につながりウッドショックの備えに

【激震】ウッドショック!木材価格高騰の理由

今回の森林・林業基本計画は、木材の利用量増加に向けて、非住宅・中高層建築物の需要を喚起する方針を打ち出しました。

具体的な取り組みとして、一般流通材を活用して低コストで実現した建築物に関する情報発信、耐火部材やCLT(直交集成板)などの開発・普及の支援、部材の仕様の標準化などです。

新たな木材需要の獲得だけでなく、国内の木材産業の競争力を強化し、輸入材に対抗できる国産材製品の供給体制を整備する方針も掲げています。例えば、国産材の利用があまり進んでいない横架材や羽柄(はがら)材に関する強化策を示しています。

品質の高い木材製品を生産・利用しやすくするため、必要に応じてJAS(日本農林規格)の区分や基準を合理化する方針も示されています。

森林・林業基本計画はおおよそ20年先を見据えた計画ですが、足元では需給の逼迫で木材価格が高騰する「ウッドショック」が住宅・建築業界を襲っています。(2021年7月現在)

中長期的に輸入材を国産材に置き換えていく方針は、ウッドショックのような事態を防ぐという点で、その効果が期待されています。

関連記事:【激震】ウッドショック!木材価格高騰の理由

関連記事:ウッドショックが顕在化させた木材供給リスクと国産材の課題

 

サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)

サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)

令和3年度住宅・建築物環境対策事業のうち「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」について、令和3年度第3回分の提案(一般建築物及び木造実験棟)の募集が開始されています。

1.公募する事業の種類(一般建築物)

建築物における木造化の推進に向けたモデル性、先導性が高いプロジェクトとして選定されたものが補助の対象です。

 

2.事業の要件

全ての要件に該当するものであることが必要です。なお、設計のみでその後の整備を伴わないプロジェクトは対象となりません。

 

<公募期間:令和3年度のIII期>

・公募期間:令和3年8月2日~令和3年10月29日(金)

・提出期間:令和3年10月29日(金)17時必着

・採択時期の目安:令和4年1月中旬頃

 

関連リンク:「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」の詳細

 

日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト2021

木造の特別養護老人ホームにおける内装制限、防火区画、立地制限

「日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト 2021」は、地域社会に貢献し、地域社会から愛され、地域福祉の拠点となる社会福祉施設をめざして、事業実施団体と設計者の協働による建築デザイン提案を含む建築関連助成事業を募集する、日本財団が新たにスタートする助成プログラムです。

関連リンク:「日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト2021」の詳細

近年、少子高齢化や多様性の尊重、コミュニティの希薄化といった社会背景の変化に伴い、社会福祉施設は多機能化や地域貢献への動きが活発となり、地域福祉を担う拠点としての役割が求められています。

社会福祉施設が、地域社会に開かれた魅力ある場所として認知され、まちづくりの核となっていくためには、建築デザインが重要な要素となってきます。デザインは環境をつくり、環境はサービスやケアと密接に結びついているからです。

社会福祉施設は木材の利用促進の対象です。発注者の視点で施設の運営を考えると、建設費を抑えることで、事業性が大きく向上します。その際の有効な方法は、工法に「木造」を選択することです。

関連記事:木造で高齢者施設を計画するための関連法規まとめ

 

SDGsや脱炭素社会、ESG投資の視点からも注目される大規模木造

SDGsや脱炭素社会、ESG投資の視点からも注目される大規模木造

SDGsの普及や脱炭素社会への取り組み、ESG投資の視点からも大規模木造は注目されています。国内で「木をより積極的に使用する」ことが重要です。

森林は二酸化炭素を吸収し、森林からつくり出される木材は燃やさない限り炭素を貯蔵し続けます。

日本は2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)、2030年度までに2013年度比で46%削減する目標を打ち出しています。

森林と木材の果たす役割は大きいです。国産材には輸入材の単なる代替ではなく、未来につながる価値を持たせる必要があります。

消費者も企業も、家計や事業活動につながる施策には注目します。木材を強く経済につなげるカーボンプライシング等は、無関心層が木材利用に興味を持つきっかけになる可能性があります。

身近に木材がない環境で育つと、木に対する愛着や意識は生まれませんし、材料への関心は持てません。特に非住宅建築に木材を使う取り組みの意味は大きいです。

木材活用の意義や方法を発注者に発信し、カーボンニュートラル実現の大きな目標に向かって取り組みを進めていくことが求められています。

日本の木材を活用することで林業の活性化を促し、木造住宅や大規模木造を建設するための安定供給体制を構築するため、国産材へのシフトをより強化していくことが求められています。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

大規模木造をSE構法で実現するポイント

大規模木造として店舗をSE構法で実現するポイント

大規模木造をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

 

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築を慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

国は建築物の木造化・木質化を推進しています。森林資源が豊富にある日本においては、木材の供給先の確保が重要になります。そこで注目されるのが大規模木造です。今までは木造住宅が主たる供給先でしたが、非住宅建築物の木造化が普及することにより、需要は大きく増大します。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。