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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

カーボンニュートラルで求められる大規模木造の法律、制度まとめ

  • カーボンニュートラルで求められる大規模木造の法律、制度まとめ -

カーボンニュートラルの実現のための木造化、木質化がより広がる中、大規模木造を実現するために課題となるのが省エネや環境に配慮した建築物を実現することです。2050年のカーボンニュートラル実現の姿を見据えつつ、目指すべき建築物の姿としては、新築される非住宅建築物をZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)基準の省エネ性能が確保されることなどが求められます。このコラムでは非住宅に関する省エネ・環境に関する法律、制度等について解説します。

 

<このコラムでわかること>

脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方

建築物省エネ法改正により​​300m2以上の非住宅にも適合義務

都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)の概要

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の技術

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のメリット

大規模木造SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方

脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方

2050年カーボンニュートラルの実現という目標を踏まえた住宅・建築物の目指すべき姿として、将来における住宅・建築物をとりまく環境、特に省エネルギーを重視した建築物を計画していく必要があります。

カーボンニュートラルの実現とは、住宅・建築物を含めた我が国社会全体でカーボンニュートラルを実現することでもあります。

住宅・建築物においては、その省エネ性能の確保・ 向上の取組を進めることで省エネルギーを徹底しつつ、再生可能エネルギーの一層の導入拡大に取り組んでいくことが求められています。

加えて、建築材料等の製造、住宅・建築物の建設施工、廃棄時などに排出されるライフサイクルとしての温室効果ガスに関しても考えておく必要があります。

目指すべき住宅・建築物の姿としては、技術的かつ経済的に利用可能な技術を最大限活用し、新築される住宅・建築物についてはZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)基準の水準の省エネ性能が確保されることが求められます。

LCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)については、現状取組が進められている戸建住宅に限らず、低層の共同住宅や建築物にもその展開を図ることが期待されています。

LCCM住宅とは、長寿命で且つ一層のCO2削減を目標とし、住宅の建設時、運用(居住)時、廃棄までの一生涯、つまり住宅のライフサイクルトータルでCO2の収支をマイナスにする住宅のことです。

 

建築物省エネ法改正により​​300m2以上の非住宅にも適合義務

建築物省エネ法改正により​​300m2以上の非住宅にも適合義務

2021年4月以降、延べ面積300m2以上2000m2未満の中規模非住宅建築物に対する省エネルギーの規制が強化されました。これまでは届出義務の対象となっていた中規模の非住宅建築物に、省エネルギー基準への適合義務が課されたことになります。

以前から適合義務の対象だった2000m2以上の大規模非住宅建築物と合わせて、300m2以上の非住宅建築物全てに省エネ適合性判定(省エネ適判)が求められるようになりました。

300m2以上2000m2未満の非住宅建築物は、届出義務が適合義務に置き換わることによって次の2点が変わります。

1つは、現行の省エネルギー基準を満たす必要が出てくることです。省エネルギー基準を満たさない建築物でも従来は届出をしておけば問題はありませんでしたが、2021年4月以降は不適合が認められなくなります。

もう1つは、適合義務化に伴って省エネ適判が必須となり、省エネ適判の手続きは建築確認と連動します。建築主は、省エネ基準を満たすことを示す省エネ性能確保計画(省エネ計画)を所管行政庁あるいは登録省エネ判定機関に提出し、「適合判定通知書」を取得する必要があります。

建築確認申請に際しては、この通知書かそのコピーを提出することが求められます。また省エネ適判を受けた建築物は、工事終了時点に完了検査を受ける必要があります。

関連記事:「改正建築物省エネ法 2021年4月から!何が変わる?」セミナーレポート

 

都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)の概要

都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)の概要

都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)は、社会経済活動その他の活動に伴って発生する二酸化炭素の相当部分が都市において発生しているものであることに鑑み、都市の低炭素化の促進に関する基本的な方針の策定について定める法律です。

市町村による低炭素まちづくり計画の作成及びこれに基づく特別の措置等を講ずることにより都市の低炭素化の促進を図り、もって都市の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。

都市の低炭素化の促進に関する法律により、市街化区域等において、低炭素化のための建築物の新築等をしようとする者は、低炭素建築物新築等計画を作成し、所管行政庁の認定を申請できることになりました。

認定によるメリットとしては、低炭素建築物の認定基準に適合させるための措置(蓄電池、蓄熱槽の設置など)により通常の建築物の床面積を超える場合に、当該低炭素建築物の延べ面積の1/20を限度として、容積率への不算入があります。また、所得税や登録免許税について一定の緩和措置が受けられます。

認定手続きは建築物の着工前に行い、事前審査の有無により方法が異なります。事前審査は、登録建築物調査機関又は登録住宅性能評価機関で可能となります。

非住宅の木造建築には対応しやすい法律です。

関連リンク:「都市の低炭素化の促進に関する法律」の概要

 

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の技術

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の技術

脱炭素化において「木造化・木質化」が重要だと捉えられています。もう一方で重要視すべきなのが「省エネ対策」です。そこで注目されるのが「ZEB(ゼブ)」です。

「ZEB」は「Net Zero Energy Building」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称です。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。

ZEBを実現するための技術は、

・消費するエネルギーを減らすための技術(省エネ技術)

・エネルギーを創るための技術(創エネ技術)

に分けられます。

実際にZEBを実現する場合には、

①パッシブ技術によってエネルギーの需要を減らす

②必要となる需要についてはアクティブ技術によってエネルギーを無駄なく使用する

③そのエネルギーを創エネ技術によって賄う

といったステップで検討することが重要です。

また、建物の運用段階では、どこにエネルギーの無駄が発生しているか、どのように効率的に設備を運用するかなど、エネルギーをマネジメントする技術も重要です。この技術によって継続的なエネルギー消費量の削減を図ることができます。

 

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のメリット

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)のメリット

ZEBには、エネルギー消費量が削減できること以外にも様々なメリットがあります。具体的には、大きく下記の4点がZEBのメリットとして挙げられます。

・光熱費の削減

・快適性・生産性の向上

・不動産価値の向上

・事業継続性の向上

建物の関係者には、オーナー、働く人、訪れる人など、さまざまな立場の人がいます。その立場によって得られるメリットは異なるものの全ての人々に対してZEBのメリットは存在しています。

そのため、ZEBを実現・普及させるためには、各立場の人々が自らのメリットを理解した上で協力していくことが必要です。

地球温暖化対策やエネルギー需給の安定化のため、エネルギー消費量を減らすことが必要とされています。特に、業務部門(事務所ビル、商業施設などの建物)で、建物でのエネルギー消費量を大きく減らすことができるZEBの普及が求められています。

建物では様々なエネルギーが使われています。発電所などから送られてきた電気やガス、熱といったエネルギーを、空調、換気、照明、給湯、エレベーター、OA機器などの形で消費しています。

建物で使うエネルギーをできるだけ減らし、できるだけ自分の建物でエネルギーをつくることで、ZEBに近づけていくことができます。

 

大規模木造をSE構法で実現するポイント

大規模木造をSE構法で実現するポイント

大規模木造をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

 

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築を慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

都市部を中心に、大規模木造の計画が活性化しています。木造はもはや都市建築の選択肢の一つとなっています。

加えて発注者は環境重視の姿勢を強めています。関連法規の基準を満たしながら、更なる省エネ対策を実施した木造建築が求められています。

設計者には、木の材料特性を引き出し、流通する製材を活用して、都市部の建築の木造・木質化の実現が求められています。

SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい高層化、木造耐火などを実現することができます。都市部の厳しい敷地条件の中、鉄骨造ではコストや施工に問題がある場合においても、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。