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家、三匹の子ぶたが間違っていたこと
【三匹の子ぶた vol.17】〜誤解を生む木造の耐震基準「壁量規定」〜のインデックス
さらに、構造計算をしていない建物でも、堂々と「構造計算しています」といって誤解したまま住宅を販売する業者も多く存在する。
電卓を使って計算をすると、つい構造計算したつもりになってしまうこの業界の安易さがある。この誤解が、木造住宅の耐震性向上にブレーキをかけている。
そこで、木造住宅の耐震性はどうなっているのか説明しておく。
すでに触れたように建築基準法では、2階建て以下かつ延べ面積500平方メートル以下などの木造住宅は構造計算を必要としないが、「仕様規定」というものがある。これが木造住宅の耐震性の基準となっている「壁量規定」である。これを構造計算と誤解している業者がいるのだ。原文を掲載する。
建築基準法原文
〈建築基準法施行令第四六条〉
「構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあっては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行き方向に、それぞれ壁を設け又は筋交いを入れた軸組を釣合い良く配置しなければならない」
一般に地震に強い建物は筋交いが多く入っているということから、このような簡易規定(仕様規定)が設けられている。算定方法は、いたって簡単である。
① 建物の床面積を計算する。
② 必要な筋交いの長さと面積を掛け算で求める。
③ 実際の建物の壁と筋交いの数を数える。
④ ②と③の数を比べて③のほうが大きくなるようにする。
前述の構造計算を理解した読者にとっては、違いははっきりとわかるだろう。力学的な計算は何もない。
足し算と掛け算と引き算をするだけである。この算数を構造計算と誤解してしまう人がいる、ということだ。
なにしろ、建物の重量は関係ない。重さは屋根の瓦の種類だけを考慮しているにすぎない。地震時の建物の変形もまったく考慮しない。
しかし、この程度ならば、建築を特別に勉強しなかった一般の人でも簡単に算定できるだろう。
いま、木造住宅に住んでいる読者のために申し添えておくが、効果がないというわけではない。結論からいうと、左右対称で、一階と二階がぴったりと重なっている建物にはかなり効果が高い。この規定では、壁を重要な耐震要素と考え、建物に必要とされる量の壁をつりあいよく配置することで構造安全性を担保するようにしている。
しかし、この規定では木造の耐震、耐風の水平力に関しての安全性をチェックするにとどまり、積雪などの鉛直荷重を見込んだ計算にはなっていない。
耐震についての「必要壁量」は、床面積に建物の階数、屋根の仕様に応じた係数を乗じて求めるよう定められている。
この「必要壁量」が、各階、各方向の耐力壁の長さに壁倍率を乗じたものの合計以上であることを確認し、バランスをチェックするだけである。
グランドピアノや書庫、ウォーターベッドなど特に重たいものを計画する場合や、吹き抜け、一体型バルコニーで上部に屋根があるにもかかわらずその重さ相当分の床面積が計算されていない場合、建築基準法の床面積算定のままでは重い建物ほど大きな地震力(水平力)が作用するため、「必要壁量」のままでは実質的には地震に対してかなり危険な設定になってしまう。
「壁量規定」は一番簡単に耐震性を確認できる方法といえるが、あくまで「最低限の目安」といった程度と考えるべきである。事実、「壁量規定」によって耐震基準を満たしているとされている木造住宅を鉄骨造等で使われる一般的な構造計算をしてみると、耐震基準の60~70%の強度しかないものも少なくない。しかし、このことは決して施主が知ることはない。ましてや、姉歯事件のようにニュースになることもない。
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