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地震と住宅の新常識
プレカットとは?特徴や加工方法をメリット・デメリットと共に解説のインデックス
木造で家を建てようと調べていると、「プレカット」という言葉を目にすることがあります。部材をプレカットするのか、それとも大工の手刻みで加工するのか、どちらが良いのか分からない方も多いはずです。
プレカットは工事を効率化し、コストを抑えるためには欠かせない技術。その一方で、知っておきたいデメリットも存在します。高品質かつ無駄なコストを抑えた家づくりをしたい方は、ぜひプレカットについて知識を付けておきましょう。
「プレカット(precut)」とは、木材や部材を工場であらかじめ指定された寸法や形状に切断・加工する技術のこと。効率的で高精度な施工が求められる建築現場において、重要な役割を果たしています。
プレカットが普及する前は、大工がノコギリやノミ、カンナなどを使って、手作業で木材を加工していました。これを「手刻み」と言い、仕上がりが大工の腕によって大きく左右されていたのです。
プレカットの場合、工場でコンピューターや機械を使って部材をまとめて加工するため、短時間で精密な加工ができます。現場での作業時間を大幅に短縮しつつ、安定した品質が叶えられるのです。
プレカットのメリットは5つあります。
・工期短縮につながる
・コストが抑えられる
・住宅の品質が左右されにくい
・品質が安定している
・現場のゴミを減らせる
プレカットをしない従来の方法と比較しながら、ひとつずつ解説します。
住宅の建築にプレカットされた構造材を使用することで、現場では組み立て作業がメインになります。そのため、プレカットを使った建築は、従来の大工による現場で行う墨付け・手刻みでの木材加工よりも、工期短縮が期待できます。
手作業により建築工程の時間が長くかかると、その分必要な人件費も増えます。工期が短くなることで人件費を抑えられ、全体的な住宅建築にかかる費用を抑えることができます。プレカット技術は生産ラインが活用され効率的に進むほか、無駄な建材がでにくいため、コストダウン効果も期待できます。
通常の木材加工には、高い技術が必要です。そのため、プレカットを使わない従来の方法での建築は、住宅の施工担当者の腕によって完成する建物の品質が左右される可能性があります。プレカットの木材は品質に合格したもののみが現場に出荷され、現場では組み立てる作業がメインになるため、住宅の品質に差が出にくいのがメリットです。
プレカットの構造材は機械がコントロールするため、個人の技術に左右されることがなく、加工精度が安定しているのが特徴です。機械に転送するCADデータの正確性が高ければ、加工ミスも発生せずに品質が安定したプレカットを生産できます。
プレカットは工場でカットしたものを建築現場に運ぶことから、建築現場でのゴミが減らせるのもメリットです。専用の処理施設に運んで処分する必要がある産業廃棄物を極力減らすことができるのは、コスト削減にもつながります
メリットが多いプレカットですが、実はデメリットもいくつかあります。
・複雑な加工には向いていない
・木材の見極めが難しい
・職人の技術継承ができない
ひとつずつ見ていきましょう。
プレカットは機械を使って木材を加工するため、角度を少しずつ変えたり、力加減を変えたりといった微調整や複雑な加工はできません。プレカットの技術は進歩しているとはいえ、手作業でしかできない加工もまだあります。
木はそれぞれ異なる個性があり、手作業であれば木の特色を見極め、それを活かした作業ができます。プレカットは機械加工で、木材の特徴や個性を認識するのは難しく、木の状態を見ながら使用する場所を決めたい、木目を活かしたいといったことに対して不向きです。
職人技術は古くから継承されてきています。プレカットを使うことで職人間の技術格差はなくなりますが、長く培われてきた職人技術の継承は難しく、複雑な技術を伴う建築を得意とする職人が減ってしまうことは懸念点と言えるかもしれません。
一般的なプレカットの受注から納品までの流れは以下の通りです。
1.設計図を元にプレカット図を作成
2.データをCADに入力
3.プレカット加工
4.品質検査
5.出荷
6.現場で組み立て作業
プレカットの受注は打ち合わせから始まり、住宅の設計図を見ながら使用する予定の木材の種類や組み立て作業の確認後、設計図を元にプレカット図が作成されます。
プレカット図完成後は、プレカット専門の技術者が必要データをCADに入力。プレカット機械にその情報を転送して、機械が情報を元に木材を切削します。プレカットされた木材には番号が振られ、品質検査が行われます。
検査に合格したプレカット木材は、梱包後慎重に現場に送られ組み立て作業が行われるのが一連の流れです。
日本で初めて木造建物にラーメン構造を採用したSE構法は、柱と梁を特殊な金物で剛接合し、高い耐震性の実現と、大間口・大空間の自由設計が可能になった、木造建築の新たな選択肢となる構法です。
地震や台風などの自然災害に強い構造を作るためには、使用する構造材をミリ単位で制御することが必要です。SE構法では、住宅1棟1棟に科学的な構造計算を実施。構造計算では構造部材の種類・大きさ・金物の設定などの情報が細かく決められ、そのデータを指定のプレカット工場へ転送する仕組みを作っています。
プレカット工場は品質基準や性能が明確であることが条件のため、品質協定を結んだプレカット工場からの供給のみとしています。選ばれた提携プレカット工場で加工される精緻なプレカット構造部材は、品質のばらつきが出る心配がありません。
構造計算の際に使用するCADシステムも、SE構法の性能情報を取り込んだSE専用のものです。このシステム内のデータは提携プレカット工場へ転送されて、プレカットデータと連動し正確な情報として反映されます。
SE構法のプレカットのメリットは3つあります。
・精度が高く品質が安定している
・納期が安定している
・プレカット加工に柔軟に対応できる
SE構法のプレカットデータは構造計算データに基づくものであり、正確で品質の高いプレカット材が供給されます。
設備や体制の整ったプレカット工場で加工を行うことにより、発注から出荷までの納期が安定しています。
プレカットされた構造部材を現場に搬入する際、現場が狭小地であったり、搬入経路が複雑だったりして大きくて長い部材の搬入が難しい場合があるでしょう。その場合、例えば通し柱にはせず、各階ごとに部材を作り金物でつなぐように設計を変更することで、現場搬入を可能にする対応ができます。
SE構法のプレカットは以下の流れで進みます。
1.コンピューター管理システムに入力
2.プレカットする材料の検査
3.構造材向けのプレカットとピン穴あけ
4.接合部加工
5.構造材のプレカット
6.プレカット検査
7.ハンガーボルト打ち込み
8.SE金物の取り付け
9.出荷検査
SE構法のプレカット工程を経て出荷される構造材は、品質管理の証として「出荷証明書」を発行し貼付されます。
SE構法で使用する材料は、一定の強度を保った集成材と呼ばれるものです。集成材は、無垢材など自然素材ゆえの強度のばらつきがなく、その強度は無垢材の1.6倍です。集成材を使用することにより構造計算が可能となり、耐震性の高さへとつながります。
集成材はシックハウスの原因となるホルムアルデヒド放散量がほとんど出ない、JASで認められたものを使用します。また、持続可能な方法で管理・採取された木材であるというPEFCのCoC認証を取得し、確かな品質を証明しています。
集成材の1本1本は、貼り合わせる木の板の状態から強度検査を実施。水分量にも規定があり、クリアしたもののみが使用されます。丈夫で品質の安定した集成材はSE構法を支える屋台骨であり、信頼のおける証と言えます。
集成材をはじめ、耐力壁や床合板など、SE構法で建築する際に欠かせないのが「SE金物」です。一般的な木造住宅で接合部に使うホゾ継ぎでは、経年によって断面劣化の可能性が高くなり強度が低下してしまいます。SE構法では、大地震による揺れでも接合部の破損を招かない技術を追求し、SE金物を独自開発。断面欠損の少ない構造で梁と柱を接合し、地震に強い建物を作り上げます。
SE金物はカチオン電着塗装されており、約600時間の塩水噴霧実験にも試験前と同じ品質レベルを保つことが証明されました。これは、塩害が多い地域でも約100年の負荷をかけた状態と同等です。
プレカット技術は、現代の建築業界において欠かせない存在となっています。その精度の高さや施工時間の短縮、コスト削減といった多くのメリットがある一方で、複雑な加工には向いていない、職人の事業継承問題などといった課題も存在します。これらのデメリットを理解し、適切に対応することで、プレカット技術を最大限に活用することができます。
建築業界は日々進化しており、効率性と品質を両立させるプレカット技術もさらなる発展が期待されています。プレカットからの安定した品質や高い耐震性能を望む場合、構造部材から構造計算を実施し高い耐震性を証明する、SE構法という選択肢も検討されてはいかがでしょうか。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)