札幌に建つO邸は、北海道ガスが提供する「コレモ」+太陽光発電という2つの電力を採用している。「コレモ」とは、ガスエンジンで発電し、効率的に暖房につかうシステム。余剰分は北海道ガスが買い取り、地域へと送るしくみとなっている。
O邸の主な暖房は、この「コレモ」を主熱源として床下のコンクリートを温めるスラブヒーター。換気される際に、この熱が玄関前のロードヒーティングへと変換され、雪を解かすことにも使われるという。
一方、太陽光パネルで作られた電気は鉛蓄電池に蓄電され、優先的に冷蔵庫や照明の動力になる。おりしもO邸が着工した2018年9月は、北海道胆振東部地震が発生し、道内全域で停電となった時期でライフラインを保つ自家発電の重要性を再認識したという。
そんな熱源システムが生きる空間は、Oさんの明確な要望によるものだ。1階に家族が集まる空間と主寝室、2階に浴室、音楽室、子ども室、そしてスキップフロアを設けることを構想し、それらが見事におさまっている。
2階へいく階段の踊り場はスキップフロアにして子どもたちの学習スペースに。その下は床を下げたリビング。横にはダイニング、キッチンがつながる。これらはひとつの大きな空間内にあるが床レベルが異なるため、家族はつながりながら、それぞれの居場所をもつことに成功している。
密になりすぎず、離れすぎず。みなが心地よい大空間を実現できるのも、柱を使わず地震に強い、SE構法の強みだ。
設計・監理
シノザキ建築事務所株式会社/イノスの家
施工
シノザキ建築事務所株式会社 / https://s-machi.com/