
MORI no KI TERRACEは、公募への企画提案形式で整備された広島県庁舎の敷地にある商業施設である。隣接する広島県庁舎は1956年に竣工。現在も庁舎として使われており、色あせないモダニズム建築の魅力をたたえている。周辺地域が高層化・高密度化してゆくなかで、県庁周辺は街の余白的オープンスペースとしての活用が期待されており、これを受けて県は整備活用計画とまちなみ事業を公募するに至った。
MORI no KI TERRACEの水平ラインが強調された外観は、建築基準法の順守に関係が深い。敷地周辺は防火地域に指定されており、火災があった際に燃え広がらないよう建物の大きさや材質、開口面積などにわたり細かな制限が設けられている。これらの規定に対し、外壁や窓の防火性能を高め、天井高を調整することで条件をクリア。中央に広場を設けた東西2棟建ての木造平屋の配置が導き出された。
西棟にはベーカリーカフェ、東棟にはロースタリーカフェとスーパーが入っている。どちらも平屋ながら天井高は4mを超え、SE構法を採用することでスッキリとした架構を実現。構造体は”あらわし”となって空間デザインも担っている。
広島市の中心部は、戦災復興都市計画の理念が継承され、いまでも緑豊かな都市空間が保たれている。MORI no KI TERRACEの南側にも緑地が広がり、それを借景とした店内やテラスは、都市の中心部にいながら安らぎと開放感を得ることができる。都市と自然が穏やかに広がる広島らしい施設だ。