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SE構法の教会の事例紹介「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」

  • SE構法の教会の事例紹介「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」 -

 教会は地域で求められる施設でもあり、長時間過ごす空間でもありますので、愛着を感じやすい木造建築は適していると言えます。

 高品質で低コスト、短工期が求められる教会を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

 このコラムでは木造の構造躯体にSE構法を採用した教会の事例紹介をしながら、意匠計画やSE構法の構造設計等のポイントについてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

・教会大規模木造SE構法)で実現する時代

SE構法教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の概要

SE構法教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」意匠設計

SE構法教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」構造設計

・教会木造が適している理由

SE構法へのお問合せ、ご相談について

・まとめ

 

教会を大規模木造(SE構法)で実現する時代

教会を大規模木造(SE構法)で実現する時代

教会建築においては、SE構法の構造スペックをうまく活用することで、木造では実現が難しい大空間や大開口がある建築を実現することができます。

発注者のSDGsや脱炭素社会に貢献できる建築を作りたいという意向も強まっており、教会建築に木造(SE構法)が採用される事例が増えています。

関連記事:木造化が必須な時代に!発注者向け大規模木造のメリット解説

木造化のポイントは、コストや工期短縮等のメリットに加えて、CO2排出量削減や炭素固定などにインセンティブがあり企業価値が高まる等のメリットを示すことが重要です。

関連記事:脱炭素社会は木造化が鍵!建設会社が大規模木造に取り組むべき理由

木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の構造より建設コストを安く抑えることができます。

関連記事:【核心】建設会社が大規模木造に取り組むメリット

資材高騰対策で大規模木造に切り替える際には、企業イメージの向上のための投資でもあると判断してもらえるように環境負荷軽減などへの貢献を明示できるかが重要です。

関連記事:【Q&Aで理解】建設会社が大規模木造をビジネス化するポイント

 

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の概要

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の概要

「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」は、沖縄県中頭郡読谷村に新しく建てられた教会と児童デイサービスからなる建物です。

隣接する嘉手納町の既存施設から移転しての新築計画で、木造(SE構法)で建設されました。

既存施設は新築建物より規模は大きい建物でしたが、駐車場面積が不足していること、高齢の信徒が増えてバリアフリー化が必要となったことなどが、新教会建設の主な動機となっています。

教会の空間のスケール、沖縄の耐風圧などの自然条件から、これまでは鉄骨造やRC造、大断面集成材でしかなし得なかった木造架構の領域を、SE構法が切り拓いた木造建築です。

 

<「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の概要>

・用途:教会

・構造:木造(SE構法)

・階数:2階建て

・延床面積:487.71㎡

 

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の意匠設計

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の意匠設計

「嘉手納バプテスト教会大湾東チャペル」の敷地は、L字型の土地形状で東側の道路に接道します。配置計画では、敷地の南側はすべて駐車場として、建物は北東側に寄せています。

平面計画はL字形の構成となっており、建物東側に教会ホールと礼拝堂、建物西側に事務室と児童デイサービス関連の諸室を配して、北西側に子どもたちのための囲われた広場を設けています。

建物へのアプローチは、南側のエントランスポーチにそれぞれ専用の入口を設けています。

 

この木造の教会の意匠設計のポイントは下記です。

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の意匠設計

・教会の外観デザインは、教会の礼拝堂部分は切妻屋根となっており、平屋部分は片流れ屋根で構成されています。

・アプローチと礼拝堂の間は教会ホールとなっており、入口部分はガラス面を設けることで開放的な雰囲気を感じさせるデザインとなっています。

・アプローチ左奥は児童デイサービスのエントランスとなっています。手前の列柱は木部現しで、基部金物には腐食を考慮してステンレス製の既製品を用いており、将来の柱の取り替えも考慮して金物を設計しています。

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の意匠設計

・教会ホールと礼拝堂が連続する構成となっています。礼拝堂入口扉の手前に位置する2本の柱の上部に児童デイサービス部分から連続する耐力壁を納めています。それによって、母子室への折り返しの階段が設置可能となっています。

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の意匠設計

・2階母子室から礼拝堂を望めるようになっています。

関連記事:耐震構法SE構法のプランニングがうまくいく設計の考え方を徹底解説

 

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の構造設計

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の構造設計

SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい大空間、大開口などを実現することができます。

SE構法であれば、教会で求められるスパンの大きい空間にも対応できますし、架構をシンプルにすることが可能です。

SE構法は、許容応力度計算に加えて偏心率のバランスを考慮した構造設計を行なっておりますので、外壁(耐力壁)の位置も意匠のデザインに合わせて決定することができます。

SE構法は、独自のSE金物を使用した断面欠損の少ない構造によって柱と梁とを接合し、優れた耐震性能を実現しています。SE構法は表面にネジ切り加工を施した通常のボルトの約2倍の強さを持つSボルトを木材にねじ込み、高強度のSE金物との組み合わせにより、耐震性の高いラーメン構造を実現しています。

 

今回の教会におけるSE構法の構造設計の主なポイントは下記です。

1.沖縄の厳しい条件に対応した木造の大空間

沖縄の厳しい条件に対応した木造の大空間

教会の礼拝堂は平面的な広さが10m角ある、天井の高い空間です。切妻形状の勾配天井となっています。

礼拝堂部分のみ北側に飛び出している外観の形状により、柱材と外周部の耐力壁で水平力を受け止める必要があります。

沖縄は本土より高い耐風性能(関東地方の1.5倍程度)が求められますので、大きな壁面にはより高強度な架構の設計が求められます。

そこで講壇背後の北面に「平角柱」を5本(中央が120mm×360mm、他の4本は120mm×300mm)、中央部に集中させて1,000mmピッチで立てています。SE構法では平角柱は標準材ですので、特注材にはならず、コストや納期には特に影響はありません。

SE構法の教会「嘉手納バプテスト教会 大湾東チャペル」の構造設計

礼拝堂の東西方向にはそれぞれ4本の平角柱に登り梁を架け、接合強度を高めるために方杖を加えています。方杖を設けることで、登り梁の梁成を420mmに抑えています。

方杖やタイバーを接合する金物は、既製の金物ラインナップで設計を行なっており、コストアップの要因となる特注金物の数を極力減らしています。

これらの架構は意匠的に現しとされ、温かみのある、そしてあたかもバットレスが内壁に現れたかのような礼拝堂らしい宗教空間をかたちづくっています。

 

2.SE構法で実現する開放的な勾配天井

教会ホールは、平面的に7,000mm角の広さです。児童デイサービスのプレイルームの短辺方向に合わせて、成330mmの梁を桁行方向に架けています。

SE構法で実現する開放的な勾配天井児童デイサービスのプレイルームは、平面的に7,000mm×9,000mmの広さです。

建築全体として教会や児童デイサービスの開放的な空間を実現すべく、SE構法の構造スペックを活かした空間構成となっています。

 

この木造建築は基本的には住宅スケールで使用する構造用集成材の規格材を基本に構造躯体を成立させています。

SE構法は、許容応力度計算に基づく構造計算を全棟実施しておりますので、設計内容に応じた構造設計が可能です。

関連記事:中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計

 

教会に木造が適している理由

教会に木造が適している理由

木造が教会に適している理由は下記です。

 

1.耐火建築物・準耐火建築物に対応しやすい

木造で計画する際には、まず耐火要件を確認する必要があります。木造は耐火建築物・準耐火建築物・その他建築物と要求される耐火性能によって、意匠性、コスト、工期等に大きく影響してきます。計画の初期段階より、木造の耐火要件を押さえておくことによって、以後の計画をスムーズに進めることが可能です。

階数や規模により建築基準法で「耐火建築物」とすることが求められることがあります。「木造耐火」の仕様を満たす必要がありますが、木造(SE構法)でも「耐火建築物」の対応は可能です。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ

 

2.木造はSDGsや脱炭素社会、ESG投資に対応しやすい

SDGsの急激な浸透もあり、カーボンニュートラルな社会への転換は世界の共通課題です。脱炭素社会実現のための課題解決に向けた取り組みが、これからの施設建設にも求められています。脱炭素社会に向けて、施設の木造化・木質化は推進する要素の一つになります。

木造は建築時に炭素排出が少なく、木は炭素を固定し貯蔵する特性があるなど、「地球環境に優しい工法」として注目されています。

近年、「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」が強く意識されるようになりました。

民間で建設する建築物で木造化、木質化を図ることは、こうした流れを加速させるものとして評価されていくことが予想されます。木造化・木質化には、地球温暖化防止と持続可能な森林経営の下支えという二重の意味を持ちます。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

3.木造は建設コストが安い

木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の構造より建設コストが安く、事業者もしくはテナント契約者の双方にコストメリットが働く可能性もあります。

木造と鉄骨造で使用する建材を部材ごとに比較しても、規格寸法があるアルミサッシなど、ほとんどの建材が木造のほうが安くなります。

基礎の断面寸法が鉄骨造と比較してとても小さいことから、基礎工事の材料費、施工費、残土処分費なども大幅に軽減できます。建物重量がとても軽くなることから、地盤改良コストも抑えることができます。

設計に関しては、木造のモジュールを意識した設計とすることで、材料の歩留まりがよくなり、施工手間が軽減されることで、結果として建設コストが安くなります。

関連記事:中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント

関連記事:中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

 

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

 

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

 

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

 

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

 

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

 

↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

まとめ

脱炭素社会、ESG投資への対応が求められる時代になり、非住宅用途の建築物を木造で建設することが求められています。

教会のような用途の建築においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。