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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

発注者向け大規模木造のコスト徹底解説

  • 発注者向け大規模木造のコスト徹底解説 -

発注者が大規模木造の低コスト化を考えた場合、最も重要なことは木造の特徴を知り、その特徴にあった設計・施工を実現できる専門家を選ぶことです。大規模木造を適正なコストで実現するためには、発注者としても木造に関するコスト情報を知ることが重要です。発注者、設計者、施工者が計画段階から概算見積りを作成するなどして、予算と工事費を調整しながら計画を進めることが重要です。

このコラムでは、発注者が知っておきたい大規模木造のコストに関してわかりやすく解説します。

 

<このコラムでわかること>

発注者が重要視するコスト面での大規模木造メリット

発注者が知っておきたい大規模木造コストの内訳

発注者が知っておきたい大規模木造コスト構造材

発注者が知っておきたい大規模木造コスト減価償却

発注者が知っておきたい大規模木造コスト維持管理

発注者大規模木造を選択するメリット

・大規模木造に最適なSE構法のポイントまとめ

・まとめ

 

発注者が重視するコスト面での大規模木造のメリット

発注者が重視するコスト面での大規模木造のメリット

発注者が大規模木造を計画する際、コストは重要な要素であり、低コスト化は必須です。

まず発注者が知っておきたいことは、建設業の抱える構造的な課題です。

前提としては、慢性的な人手不足や高齢化による職人不足があり、建築用鋼材の需要変化による価格変動等があります。

輸送コストの上昇も相まって、工期が遅延、長期化する原因となっています。

建設コストは「ヒト(人件費)、モノ(建材費、機器費など)、経費(利益)」の合計で構成されます。

 

木造が鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して、コスト的に有利な点は主に下記です。

 

・木造は施工に関する人件費が安定している

→需要による価格変動が少ない。

 

・木材の価格上昇リスクが建築用鋼材よりは少ない

→木材はウッドショック等が生じるリスクはあるが国産材などは変動が比較的少ない

 

・木造は工期短縮が図れる

→木造の場合、プレカットされた規格部材を現場で組み上げる施工が多いため、スムーズな作業・進行に貢献し、短期間での完成を実現できる。また、工期短縮は人件費など経費を安くできる。

 

・木造は建物重量が軽い

→特に地盤改良工事、基礎工事、構造躯体工事のコストを抑えられる。

関連記事:中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント

 

 

発注者が知っておきたい大規模木造のコストの内訳

大規模木造のコストの考え方(積算編)

大規模木造のコストの中心である建築本体工事費は、躯体工事費、仕上げ工事費、設備工事費の3つに分けられます。

そのうち、最も大きな割合を占めるのが躯体工事費です。大規模木造では、木工事の費用が全体の30%前後を占めます。

大規模木造のコストでよく語られる構造材ですが、実はその割合は工事費全体の10%前後のことが多いです。

設計内容や用途、規模によって各工事費の割合は微妙に異なりますが、一般的な形状の大規模木造であれば、この割合に大きな変化はありません。

しかしながら、大空間や大スパンによる特注材利用や、建物が矩形ではない特殊形状の場合には、躯体工事費の割合が高くなる傾向にあります。

躯体工事費の割合が高くなると、見積り金額の超過が起こりやすく、仕上げ工事費を下げても十分な減額にならないことが多いです。

現実的な実務の進め方としては、設計段階での概算見積りの際は、構造躯体のかたちをおおむね決めた上で構造躯体の概算金額を把握することで、全体工事費と構造躯体費のバランスを判断することが必要です。

関連記事:【直撃】資材価格高騰局面での大規模木造におけるコストダウン対策

 

 

発注者が知っておきたい大規模木造のコスト(構造材)

発注者が知っておきたい大規模木造のコスト(構造材)

木造の構造に用いられる木材は一口に木材と言っても材種、樹種、強度、制作可能サイズ等の選択肢が多岐に渡るため、材の特性を知った上で「適材適所」で使い分けることがコスト管理では重要です。

一般的に流通している木材は流通量が多く、特殊材と比べ、比較的調達もしやすく価格も 品質も安定しています。

一般的に流通している材種や材寸を把握し、架構計画に反映することは低コスト化の一つの方法です。 

関連記事:低層の中大規模木造は住宅用の一般流通材を使うと鉄骨造より安くなる理由

 

大規模木造の構造材としてコストパフォーマンスが高いのは「構造用集成材」です。

構造用集成材は材料であるひき板(ラミナ)を目視及び機械的方法により等級区分(グレーディング)し、必要に応じて適当なひき板を組み合わせて接着集成しますので、強度性能の安定した長尺大断面の材料が得られます。

特に性能規定化された建築基準法のもとでは、強度性能が表示でき、かつ保証される構造用集成材は信頼性の高い部材です。

材料強度が安定(強度性能のばらつきが少ない)しており、大規模木造では一般的な材料です。

構造用集成材は一般流通材である規格サイズであれば、比較的安価に入手可能です。

構造用集成材は必要に応じて、特注材として任意の梁成、長さ等を制作可能です。

関連記事:【解説】大規模木造に適した構造用集成材をSE構法が採用する理由

 

 

発注者が知っておきたい大規模木造のコスト(減価償却)

発注者が知っておきたい大規模木造のコスト(減価償却)

大規模木造のコストにおいては、減価償却も考慮すべき要素です。

減価償却とは、「土地以外の取得原価をその使用する各期間に費用として計上し、固定資産の価値を減少させていく計算手続き」のことです。

減価償却は、現実の建物価値とは異なり、あくまでも会計上の考えに基づき機械的に行う計算です。

会計上は土地の価値はずっと変わらない(実際は異なります)という考え方を採用していますので、土地の減価償却計算は不要です。

一方で、会計上、建物は年数が経過すると価値が下がると考えます。

実際には十分使える建物であっても、会計上は建物の価値は少しずつ目減りしていくという考え方を採用しています。

購入した建物の資産価値を下げるために、建物は減価償却計算を行う必要があるのです。

民間の建築物であれば、建設予定の建築物の要求(想定)耐用年数を基に、木造で建設した場合とS造やRC造で建設した場合の減価償却による耐用年数の比較を行ない、減価償却による運用資金を検討することが求められます。

建物の長寿命化を図ること、長期にわたり経済的に使用できることが、建物の維持管理に おいて低コストにつながるポイントです。

そのためには、建物の計画当初より、空間の可変性や設備システムの更新に配慮した設計を行うことが必要です。

 

 

発注者が知っておきたい大規模木造のコスト(維持管理)

発注者が知っておきたい大規模木造のコスト(維持管理)

大規模木造のコストを考える際、イニシャルコスト(建設費等)も重要ですが、ランニングコスト(点検、維持管理等)を抑えることはより重要です。

大規模木造のランニングコストを抑える鍵は、耐久性の向上のための維持管理です。

大規模木造の耐久性向上に関しては、躯体の耐久性を維持して建築物を長く使えることがポイントになります。

 建物が長寿命になればなるほど維持保全の期間は長くなることから、維持保全の手間とコストのかかる材料を劣化しやすい箇所に使用しないなど、維持保全コストを抑える設計が重要となります。

 また、建設費と維持管理費のトータルコストの面から、交換や削り出しがしやすい仕上げとすることを、設計段階で盛り込んでおくことも有効です。

建物の劣化原因を軽減できる計画を行うことで、長持ちする建物へと導きます。

さらに建物全体、部位、部材、部品ごとに、目標とする耐用年数を定め、それを考慮して建物の計画・設計および維持管理計画が求められます。

清掃、点検、保守作業などが効率的かつ安全に実施できるよう、作業空間や機器材の搬出入 経路、配管、配線スペースを確保し、必要に応じて作業用設備を設置する必要があります。

その他、高所の窓や樋点検のための保守管理用バルコニーや設備の設置、床下、小屋裏点検口を設け、容易に点検、保守が行えるようにすることも大切です。

関連記事:大規模木造における耐久性に関する実務ポイント

 

 

発注者が大規模木造を選択するメリット

発注者が大規模木造を選択するメリット

持続可能な木材利用を経営戦略に上手に取り組む企業が増えており、自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えています。

近年、企業経営のトレンドとして「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」が強く意識されるようになりました。

民間で建設する建築物で木造化、木質化を図ることは、今後この二つの流れにそったものとして評価されていくことが予想されます。

関連記事:木造建築は「SDGs」や「ESG投資」でも企業価値を高められる理由

 

発注者が大規模木造を選択するメリットは主に下記です。

 

1.木造化・木質化の流れに対応できる

カーボンニュートラル実現には、森林資源の循環利用と人工林の若返りとともに木材利用拡大が有効です。特に中大規模の非住宅建築で木材利用を進めることが求められています。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

2.大規模木造はコストパフォーマンスが優れている

非住宅建築物の木造化の推進には、コストは重要な要素であり低コスト化は必須です。最も重要なことは、木造の特徴を知り、その特徴にあった設計・施工を行うことです。

関連記事:【解説】大規模木造のリアルなコストの考え方(前編)

関連記事:【解説】大規模木造のリアルなコストの考え方(後編)

 

3.中層(4階建てなど)の建築物にも対応できる

4階建ての計画で鉄骨造や鉄筋コンクリート造だと事業計画が成立しない場合に、木造とすることで解決できることがあります。

関連記事:【新潮流】非住宅で木造4階建てが増えている理由

 

 

SE構法へのお問合せ、ご相談について

SE構法へのお問合せ、ご相談について

大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。

1.構造設計

SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。

 

2.概算見積り

SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。

 

3.調達

物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。

 

4.加工

構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。

 

5.施工

SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)

 

6.非住宅版SE構法構造性能保証

業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。

 

↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。

https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/

 

 

まとめ

SDGs、脱炭素社会、ESG投資への対応が求められる時代になり、木造化・木質化が急速に進んでいます。

大規模木造(SE構法)の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。

SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。

構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。