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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

【新潮流】非住宅で木造4階建てが増えている理由

  • 【新潮流】非住宅で木造4階建てが増えている理由 -

木材の利用促進が期待される中大規模木造は、都心部での計画が増えてきました。その背景には、技術・構法の発達に加え、世界的に注目されるCSR(企業の社会的責任)や、SDGs(持続可能な開発目標)等への取り組みがあります。木材の活用は環境貢献につながるという認識が企業に浸透しつつあります。今後もこの動きは加速、拡大する見込みです。SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい高層化、木造耐火などを実現することができます。都市部の厳しい敷地条件の中で4階建てを計画する際に、鉄骨造ではコストや施工に問題がある場合においても、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。このコラムでは木造4階建てのポイントについてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

・木造化のキーワード:SDGs脱炭素社会ESG投資、建築基準法改正

・非住宅木造4階建てで建てるメリット

・木造4階建てのポイント:耐火建築物への対応

・木造4階建てのポイント:事業計画木造メリットを活かす

SE構法の木造4階建ての事例「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

・大規模木造SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

木造化のキーワード:SDGsや脱炭素社会、ESG投資、建築基準法改正

幼稚園に木造が適している理由

「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境や社会、企業統治を重視する(ESG投資)」の拡大などを背景に、環境や社会への貢献度が企業価値を左右する時代が訪れています。

持続可能な木材利用を経営戦略に上手に取り組む企業が増えており、自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えています。

日本は2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)、2030年度までに2013年度比で46%削減する目標を打ち出しています。

木材活用の意義や方法を発注者に発信し、カーボンニュートラル実現の大きな目標に向かって取り組みを進めていくことが求められています。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

法制度面で中高層木造の追い風になっているのが、2019年の改正建築基準法です。

改正前は木造建築物の高さが13m、軒高が9mを超えると一律に耐火構造にする必要がありました。改正後は、高さ16m以下かつ3階以下であれば、木造でも耐火構造としなくてよくなりました。ただし、倉庫や自動車修理工場などの基準は高さ13m以下で据えおかれています。

高さ16m超、4階以上であっても、壁や柱などの主要構造部で木材を通常よりも厚くすれば、石こうボードなどで覆わなくてもよくなります。消火までに倒壊しない防火性能を満たすことが条件です。

新設された「75分・90分準耐火構造」は、これまで耐火構造が求められたケースで、一定の性能を満たせば準耐火構造で建てられることになりました。

関連記事:木造の準耐火建築物の可能性が広がる!改正建築基準法の解説

 

非住宅を木造4階建てで建てるメリット

企業の環境への取り組みに対する注目も高まっており、国内の森林保全や林業の育成、地方創生などの視点も重要になっています。そうした面からも木材の需要を伸ばすことが課題であり、中高層建築においても木造化が求められています。

木造4階建てのメリットは下記です。

1.建設コストが鉄骨造より安い

木造は、大工による施工が中心のため、施工費の変動はほとんどありません。大工は、地域によって施工費の相場も決まっています。

木造の耐火建築物は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造として「建物重量が軽い」ことが、大きなコストダウンのポイントとなります。特に地盤改良工事、基礎工事、構造躯体工事のコストを抑えることができます。

関連記事:中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント

 

2.木造は軽いため、軟弱地盤に対応しやすい

敷地が軟弱地盤だった場合、地盤改良工事を行う必要があります。大規模木造は、建物重量が鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して大幅に軽いことから、求められる地耐力が小さくなるため地盤改良工事をコストダウンすることができます。

大規模木造は、建物重量が鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して大幅に軽いことから、基礎断面を小さくすることができます。

木造の基礎断面が小さいということは、鉄骨造あるいは鉄筋コンクリート造と比較して、主に下記の理由によりコストダウンが可能になります。

・根切り底が浅いため、残土処分量を減らせる

・立ち上がり部分やフーチング部分の寸法が小さく、型枠や配筋量が減らせる

・作業量が少なく、工期短縮が可能になる(現場経費の軽減につながる)

 

3.減価償却期間が短い

木造は減価償却期間が鉄骨造より短く設定されており、年間の経費をより多く計上することができ、節税効果を得ることができます。

事業計画においては、減価償却期間の短さや解体時のコスト等を考慮した結果、鉄骨造よりコストダウンができるということで、木造が選択されることがあります。

一方で、耐用年数はあくまで税法上で定められた年数でもあり、現代建築ではメンテナンスを適切に行うことで更に長期に使用することも可能です。

 

木造4階建てのポイント:耐火建築物への対応

SE構法の事務所の事例紹介「ハウステックス東京本社ビル」

木造4階建てを検討する際に、まずおさえることが「防火・耐火」です。鉄骨やコンクリートに比べて燃えやすい木材(木は火に弱いということではない)という材料を使って、法規の基準を満たした火災に強い建築をつくることが求められます。

大規模木造は、規模や建築基準法、各種基準により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多くなります。このため、防火・耐火のコストをできるだけ上げないように、建築計画を慎重に検討する必要があります。

木造の耐火建築物では、木造の構造体に耐火の被覆が必要となります。木造の耐火建築物を現実的に計画し、デザインとコストを両立させるには、「構造躯体の木(柱や梁)を見せること」にこだわらない設計が重要となります。

木造4階建てまでは1時間耐火構造が要求されます。木造耐火構造を計画する場合、内部を石膏ボードで覆う必要があるため、空間の確保や、耐火被覆分のコストアップについて事前によく検討をしておく必要があります。

立地条件や地盤状態等により、鉄骨造や鉄筋コンクリート造では実現が難しい場合等は、「木造4階建」は有効な選択肢となります。

関連記事:​​木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

 

木造4階建てのポイント:事業計画で木造のメリットを活かす

企業内保育所に木造が適している理由

4階建ての計画で鉄骨造や鉄筋コンクリート造だと事業計画が成立しない場合に、木造とすることで解決できることがあります。

敷地条件によっては、必要な初期投資額と、構造や延べ面積など建築可能なスペックの建物で期待できる収益とのバランスが悪く、計画上、採算性を低く見ざるを得ない場合があります。

そのような場合に、木造とすることで建設コストを抑えて、事業計画が成り立つケースもあります。

事業計画において、木造4階建ての特徴は下記です。

・木造4階建ての場合、木造の戸建住宅を手掛ける地域工務店でも施工が可能です。

・工務店にとっては仕事の幅が広がるメリットがあります。

・木造4階建ての場合、大部分の構造材は一般に流通する材料で施工可能です。

・木造4階建てにおいて、特別なことをやると、コストが増えたり工期が延びたりするので注意が必要です。

 

SE構法の木造4階建ての事例「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

都市の木造化に向けた木質耐火部材等の利用促進事業の利用条件と助成額

SE構法の木造4階建ての事例として「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」があります。

<「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」の概要>

・計画地は駅からも近い商業地域、防火地域でもあり、耐火建築物

・4階建ての木造(SE構法)と避難経路を兼ねた2階建ての鉄骨造の建物との平面混構造

(構造的には分離、エキスパンジョイントあり)

・1階から3階までは事務所用途のテナントスペース、最上階の4階は住居

 

この木造4階建ての事務所ビルにおけるSE構法の構造設計の主なポイントは下記です。

・狭小地の設計施工で、鉄骨造だと接合部の点数が増えてコストアップにつながってしまう

→木造で計画した結果、逆に材長が6m以下の流通規格の材料を中心に設計することができ、コストダウンが可能

・鉄骨造と比較して重量の軽い木造でも木造耐火による被覆を行う事によって重量が重くなり、かつ4階建てなので一般的な在来軸組工法では計画すること自体が困難

→SE構法では耐力フレーム・耐力壁を効率的に配置でき、難なく計画することができ、必要な開口も確保することが可能

・SE構法の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現

→構造的に応力や荷重が集中する部分には、短辺方向に平角柱、大梁を抱き合わせにするディテールを用いることで、特注材を最小限に抑える

 

立地条件や地盤状態等により、鉄骨造や鉄筋コンクリート造では実現が難しい場合等は、「木造4階建」は有効な選択肢となります。

SE構法で実現した木造耐火建築物の4階建て事務所ビルの事例は下記です。

関連記事:木造4階建てのSE構法の事務所ビルの事例紹介「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

 

大規模木造をSE構法で実現するポイント

SE構法は森林認証取得している構造材で大規模木造を実現

大規模木造をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築を慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

都市部を中心に、中大規模木造の計画が活性化しています。木造はもはや都市建築の選択肢の一つとなっています。発注者は環境重視の姿勢を強めています。

設計者には、木の材料特性を引き出し、流通する製材を活用して、都市部の建築の木造・木質化の実現が求められています。

SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい高層化、木造耐火などを実現することができます。都市部の厳しい敷地条件の中、鉄骨造ではコストや施工に問題がある場合においても、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。