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地震と住宅の新常識
ZEH基準の家とは?2030年に向けた省エネ住宅の建て方のインデックス
省エネルギー住宅への関心が高まる中、よく目にするようになったのが「ZEH」「ZEH基準」「ZEH水準」などの言葉です。2025年にはすべての新築住宅が省エネ基準適合義務化、そして2030年にはZEH基準への引き上げも控えています。すでに補助金や住宅ローンの金利引き下げプランなども登場しているため、これまで省エネには興味がなかった方も、関心を持っておくのがおすすめです。これから家を建てるなら、ZEH基準の定義やメリット、デメリットなどを理解しておきましょう。
「ZEH」と「ZEH基準(ZEH水準)」。一見似ている2つの用語ですが、実は大きな違いがあります。多くの方がこれらを混同しがちですが、住宅選びや将来の省エネ基準を理解する上で、この違いを把握することはとても重要です。まずは、それぞれの定義の違いを見ていきましょう。
ZEHとは「Net Zero Energy House」の略称。高断熱と省エネによって家の中で消費するエネルギーを大幅に減らしつつ、再生可能エネルギーを導入して家庭内のエネルギー収支をおおむねゼロ以下にする住宅のことを指します。
ZEHには、高断熱・省エネ・創エネの3つの要素が必須です。
高断熱は、高性能な窓や高断熱材を利用することで、屋外と室内の熱の出入りを減らすこと。家の中を冬は暖かく・夏は涼しく保ち、冷暖房に使うエネルギーを抑えます。
省エネは、LED照明や高効率の給湯器などの設備を導入し、無駄なエネルギー消費を減らすこと。家庭内のエネルギー消費量を見える化するために、「HEMS」というシステムを導入するケースもあります。
創エネは、太陽光発電システムなど、再生可能エネルギーを生み出す設備を設置すること。消費するエネルギーよりも、多くのエネルギーを創り出すことで、エネルギーの自給自足を実現します。
「ZEH」の場合は、太陽光発電システムなどの創エネ設備が必要です。しかし、「ZEH基準(ZEH水準)」の省エネ住宅では、創エネ設備は必要ありません。
重要なのは、「断熱等性能等級5」と「一次エネルギー消費量等級6」を同時に達成することです。
断熱等性能等級とは、住宅の断熱性能がどれくらいあるかを示す指標です。等級1〜7まであり、数字が大きいほど断熱性が高いことを示します。
現行の建築物省エネ法による省エネ基準が、等級4。ZEH基準で求められるのが、等級5です。
等級7 | HEAT20 G3と概ね同等 |
等級6 | HEAT20 G2と概ね同等 |
等級5 | ZEH基準 |
等級4 | 平成28年省エネ基準 |
等級3 | 平成4年省エネ基準 |
等級2 | 昭和55年省エネ基準 |
等級1 | 昭和55年省エネ基準以下 |
断熱等性能等級を決めるのが、熱の逃げやすさを示す「UA値(外皮平均熱貫流率)」と夏場の日射の入りやすさを示す「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率」という2つの数値です。日本全国を気候ごとに1地域から8地域に分け、それぞれの等級で達成すべき値が設定されています。
等級 | 地域区分 | ||||||||
1
(夕張等) |
2
(札幌等) |
3
(盛岡等) |
4
(会津若松等) |
5
(水戸等) |
6
(東京等) |
7
(熊本等) |
8
(沖縄等) |
||
等級7
(戸建住宅) |
UA | 0.20 | 0.20 | 0.20 | 0.23 | 0.26 | 0.26 | 0.26 | ― |
ηAC | ― | ― | ― | ― | 3.0 | 2.8 | 2.7 | ― | |
等級6
(戸建住宅) |
UA | 0.28 | 0.28 | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 | 0.46 | ― |
ηAC | ― | ― | ― | ― | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 5.1 | |
等級5 | UA | 0.4 | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | 0.6 | ― |
ηAC | ― | ― | ― | ― | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 6.7 | |
等級4 | UA | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | ― |
ηAC | ― | ― | ― | ― | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 6.7 | |
等級3 | UA | 0.54 | 0.54 | 1.04 | 1.25 | 1.54 | 1.54 | 1.81 | ― |
ηAC | ― | ― | ― | ― | 4.0 | 3.8 | 4.0 | ― | |
等級2 | UA | 0.72 | 0.72 | 1.21 | 1.47 | 1.67 | 1.67 | 2.35 | ― |
ηAC | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
この表を見ると、ZEH基準の等級5は通過点にすぎません。それを上回る等級6や7も設定されていることから、いずれはZEH基準が標準となり、さらに等級6や7を目指す時代が来ると考えられます。
一次エネルギー消費量等級とは、一年間のエネルギー消費量を示す指標です。
その住宅で使われている冷暖房設備や給湯設備などの性能に基づいてエネルギー消費量を算出(設計一次エネルギー消費量)。それを基準となる消費量(基準一次エネルギー消費量)で割った「BEI(一次エネルギー消費性能)」という数字で等級が決まります。
現行の省エネ基準は等級4(BEI1.0以下)で、ZEH基準では等級6(BEI0.8以下)です。
なぜ昨今ZEH基準が話題になっているかというと、住宅を新築する場合の省エネ基準が段階的に引き上げられる予定になっているからです。
2025年には平成28年省エネ基準が義務化されるので、それより断熱性能などが低い家は建てられません。その後、2030年には、ZEH基準を満たした省エネ住宅が最低限の基準になる予定です。
2030年にはZEH基準が最低ラインとなる予定ですが、それ以前に家を建てる方もZEH基準を目指すメリットがあります。
ZEH基準の家を建てる大きなメリットが、光熱費の削減です。住まいの断熱性能を上げ、高効率の設備を取り入れることで、年間を通じて光熱費を大幅に削減できます。
断熱性能が低い家では、「脱衣所と浴室」「リビングと廊下」などの温度差が大きい場所で、血圧が急激に上下して心臓や血管に大きな負担をかける「ヒートショック」という健康被害に悩まされることがあります。ZEH基準の住まいは部屋ごとの温度差が生じにくいため、ヒートショックのリスクが軽減できるのもメリットです。
また、結露によるカビやダニの発生もしにくく、これらが原因で起こる病気の発生も防いで健康な生活が期待できます。
将来的にZEH基準が最低ラインになると、それよりエネルギー効率の低い住宅の価値が相対的に低くなる可能性があります。今から先を見据えたZEH基準の家づくりをすることで、資産価値の維持や向上が期待できます。
一方で、ZEH基準を満たした家づくりにはデメリットもあるので、ぜひ知っておきましょう。
ZEH基準の家では断熱性を高める必要があるため、間取りやデザインが制限される可能性があります。特に吹き抜けや大間口などの間取りを叶えるには、適切な工法を選ぶことが重要です。
ZEH基準の家では、高性能の窓や高断熱材などを使用するため、建築費が高額になります。ただし、建築には補助金が出ることも多く、建築後生活を始めれば光熱費が削減されるため、長い目で見れば費用が相殺される可能性も高いでしょう。
現在、国としてもZEH基準をはじめとする省エネ住宅を普及させるため、さまざまな補助金や減税制度が用意されています。
子育てエコホーム支援事業は、子育て世帯・若者世帯を中心に、新築住宅の取得や省エネリフォームを支援する事業です。条件を満たすZEH水準住宅を新築すると、1戸あたり80万円の補助金(※立地によっては40万円)が支給されます。
住宅ローン控除とは、年末のローン残高の一定割合を、所得税から一定期間にわたって控除する制度です。以前はあらゆる住宅で使えていましたが、現在はZEH基準や省エネ基準など一定の省エネ性能を持つ住宅でなければ住宅ローン控除は使えません。
長期固定金利の住宅ローン、フラット35。ZEH基準に適合すると金利が引き下げられる「フラット35S(ZEH)」という商品が登場しています。良い条件で住宅ローンを借りるためにも、省エネ性能は重要です。
ご紹介したZEH基準の家を購入する際の補助制度はごく一部。予算が上限に達した場合に早期に打ち切られる可能性もあるので、利用したい方は早めに情報収集しましょう。
ZEH基準の省エネで快適に暮らせる住まいを実現するには、自然のエネルギーを最大限に活用することが重要なポイントになります。そこで注目したいのが「パッシブデザイン」。太陽・熱・風などのエネルギーを存分に活用し、快適な住まいづくりを行う手法です。
南面の窓を大きく取ることで、冬は太陽光による熱を集め、最小限の暖房で快適な室温を保てます。太陽の高さを考慮して庇や軒を設計することで、夏場は窓からの直射日光を遮り、涼しく過ごすことが可能です。また、風の流れを予測しながら窓の配置を考え、吹き抜けや高窓などを作ることで、家中に心地よい風が流れるように。吹き抜けは上から下に明るい光を落とす役目もあり、照明を付けずに過ごせる時間が増えます。
パッシブデザインに欠かせないのが、大きな窓や吹き抜け。しかし、昔ながらの在来工法の木造住宅の場合、耐震性を確保するために、あまり大きな窓や吹き抜けは作れないケースがほとんどです。
そこでおすすめなのが、SE構法の木造住宅。RC造のマンションなどで使われている「ラーメン構造」を木造へ応用した技術で、柱や梁を強固に繋ぐことで、地震に強い構造体を作ることができます。SE構法が得意とするのが、耐震性を確保しながら大きな窓や吹き抜けを作ること。パッシブデザインとの相性が良い工法で、ZEH基準の省エネ住宅を実現しやすくなります。
断熱性と省エネ性を高め、光熱費を抑えながら暮らせるZEH基準の住宅。2030年にはZEH基準の家づくりが当たり前の時代が来る予定となっているため、今から対応していくのがおすすめです。ZEH基準の住宅を実現するためには、太陽や風の力を活かしたパッシブデザインの設計手法が求められます。大きな窓から入る太陽光で暖かさや明るさを確保し、家中を爽やかな風が吹き抜けることで、少ないエネルギーで快適な暮らしが叶えられるのです。
大きな窓や吹き抜けのある、心地よく省エネな住まいを実現したい方は、ぜひパッシブ設計と相性抜群なSE構法を選択肢の一つに入れてみてください。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)