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地震と住宅の新常識
建ぺい率とは?容積率の違いや調べ方・計算方法・緩和条件を解説のインデックス
家を建てるときや、土地を購入するとき、避けて通れないのが「建ぺい率」です。その敷地に対して、どのくらいのサイズの建物を建てられるかが決められており、土地の利用方法に大きな影響を与えます。建ぺい率について理解せずに計画を進めると、理想よりも狭い家しか建てられなかったり、将来の増築が難しくなったりするリスクもあるのです。そこで今回は、建ぺい率と容積率の基本的な概念やそれぞれの計算方法や調べ方、さらには規制緩和の条件について解説します。
建ぺい率とは、敷地面積(建物を建てる土地の面積)に対する、建築面積(建物を真上から見た面積)の割合のことです。建ぺい率が高いほど、敷地に対する建物の占有率が高くなります。例えば、100㎡の敷地に建築面積60㎡の建物を建てた場合、建ぺい率は60%です。
せっかく家を建てるなら、敷地いっぱいになるべく大きな建物を建てたいと思う方もいるかもしれません。しかし、建ぺい率は法律で上限が決まっており、それを上回る建物は建てられません。同じ面積の土地であっても、建ぺい率60%の土地と、建ぺい率30%の土地では、建てられる建物のサイズが大きく違ってくるのです。
<計算式>
建ぺい率(%)= 建築面積 ÷ 敷地面積 × 100
<計算の手順>
1.敷地面積を確認する:家を建てる敷地全体の面積を確認します。例えば、敷地面積が200㎡だとします。
2.建築面積を確認する:建物の面積を確認します。ここでは90㎡としましょう。
3.上記2つを計算式に当てはめます。
90㎡(建築面積)÷200㎡(敷地面積)×100=45%
建築面積とは、外壁や柱などの中心線で囲まれた水平投影面積のこと。上下階の位置がそろっている家なら、建築面積は1階の面積とおおよそ同じです。
なお、壁や柱のない軒・庇・バルコニーなどは、突き出している部分が1m以下であれば建築面積には含まれません。1m以上突き出している場合は、先端から1m手前までが建築面積に含まれます。
なぜ建ぺい率が制限されているかというと、地域の生活環境の質を維持し、災害に対する安全性を確保するためです。
建ぺい率を制限することで、建物間に十分な空間を確保できます。これにより、各建物に十分な日照が得られ、敷地内の風通しもよくなります。また、住民のプライバシーが保たれる効果も期待できるでしょう。
建物が密集していると、火災が発生したときに他の建物へ延焼しやすくなります。建ぺい率を制限して建物間の距離を確保することで、火災発生時の延焼リスクを抑えることが可能です。また、地震をはじめとする災害時の避難経路も確保しやすくなります。
建ぺい率は、都市計画法に基づき定められた「用途地域」ごとに、異なる制限が設けられています。これは、地域の特性に合わせた、秩序ある街づくりを促進するためです。
例えば、住宅街として静かな環境を保つことを目的とした住居専用地域では、ゆとりある住環境を保つため、建ぺい率30〜60%と比較的低く設定されています。一方、商業活動の活性化を図る地域では、建ぺい率が高めに設定されています。これは、限られた土地を最大限に活用し、効率的な商業空間を創出するためです。
用途地域名称 | 特徴 | 建てられる建物の種類 | 建ぺい率(%) |
第一種低層住居専用地域 | 低層住宅のための地域 | 小規模な店舗・事務所兼住宅・小中学校など | 30~60 |
第二種低層住居専用地域 | 主に低層住宅のための地域 | 小中学校・150㎡までの一定の店舗 | 30~60 |
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅のための地域 | 病院・大学・500㎡までの一定の店舗など | 30~60 |
第二種中高層住居専用地域 | 主に中高層住宅のための地域 | 病院・大学・1500㎡までの一定の店舗や事務所など必要な利便施設 | 30~60 |
第一種住居地域 | 住居の環境を守るための地域 | 3000㎡までの店舗・事務所・ホテルなどは建設可 | 50~80 |
第二種住居地域 | 住居の環境を守るための地域 | 店舗・事務所・ホテル・カラオケボックスなどは建設可 | 50~80 |
準住居地域 | 自動車関連施設などの立地と調和した住居の環境を保護するための地域 | 自動車関連施設など | 50~80 |
田園住居地域 | 農業と調和した低層住宅の環境を守るための地域 | 住宅・農産物直売所 | 30~60 |
近隣商業地域 | 周辺住民が日用品の買物をするための地域 | 住宅・店舗・小規模工場 | 60~80 |
商業地域 | 商業施設が集まる地域 | 銀行・映画館・飲食店・百貨店・住宅・小規模工場など | 80 |
準工業地域 | 軽工業工場やサービス施設が立地する地域 | 環境悪化が大きい工場以外はほとんど建てられる | 50~80 |
工業地域 | どの工場も建てられる地域 | 工場・住宅・店舗(学校・病院・ホテルなどは建てられない) | 50~60 |
工業専用地域 | 工場のための地域 | 工場(住宅・店舗・学校・病院・ホテルなどは建てられない) | 30~60 |
特別用途地域 | 用途地域を補完する地域地区 | 地区の特性にふさわしい土地利用・環境保護など特別な目的の実現を図るために指定 | 30~70 特定行政庁により決められる |
参考資料:国土交通省「みらいに向けたまちづくりのために‐都市計画の土地利用計画制度の仕組み‐
このように、用途地域ごとに適切な建ぺい率を設定することで、「閑静な住宅街」「賑わいのある繁華街」「効率的な工業地帯」など、それぞれの目的に合わせた街並みを形成。住居の隣に突然大型の工場が建設されるといった、土地利用の混乱も防ぐことができます。ただし、同じ用途地域であっても、地方自治体によって細かい調整が行われることもあるため、実際の建築計画を建てる際には該当地域の規制を確認しましょう。
建ぺい率は、単に建物の大きさを制限するだけでなく、街の雰囲気や居住環境に大きく影響を与えます。一般的な住宅地では30〜60%の建ぺい率が多く見られますが、それぞれに特徴があります。
建ぺい率60%の場合、敷地の半分強に建物を建てられるため、効率的な土地利用が可能です。必要な床面積を確保しつつ、土地の購入コストを抑えられる利点があります。
一戸建て中心の住宅街でよく見られるのが、建ぺい率50%の土地。例えば、広さ120㎡の敷地なら60㎡の建築面積が許可され、2階建てでも十分な居住空間を確保できます。庭や駐車スペースなども確保しやすいでしょう。
高級住宅地や田園地帯などでは、建ぺい率30%や40%といった厳しい制限が設けられることも。隣家との距離が広がり、日当たりや通風が確保されやすくなります。結果として、緑地や庭が多い、ゆとりある街並みが形成されるでしょう。ただし、十分な居住空間を得るには広い土地が必要となり、土地の取得コストは高くなる傾向があります。
土地購入時には、面積や形状だけでなく建ぺい率についても確認しておきましょう。建ぺい率は主に以下の2つの方法で調べられます。
・市区町村役場の都市計画課に問い合わせる
・不動産会社に問い合わせる
確実な方法は、これから家を建てる場所にある市町村役場の都市化計画課に問い合わせることです。不動産会社や建設業者も建ぺい率を把握しており、物件情報にもよく記載されています。
一定の条件下では、建ぺい率の規制緩和が適用されることもあります。主な緩和条件は、以下のようなものがあります。
1.防火地域内での耐火建築物の建設(10%緩和)
2.準防火地域内での準耐火建築物の建設(10%緩和)
3.角地での建設(10%緩和)
例えば、防火地域の角地に耐火建築物を建てる場合、20%の緩和が適用される可能性があります。ただし、具体的な緩和措置は自治体によって異なるため、詳細は各自治体の担当窓口や不動産業者に確認することが重要です。
建ぺい率が低い土地のメリットは、隣家との距離が確保でき、日当たりと風通しのよい住環境をつくりやすいこと。一方で、土地に対して小さな家しか建てられないというデメリットもあります。
そのため、土地を購入する際には、立地や広さだけでなく、用途地域や建ぺい率も意識することが大切です。また、角地を選ぶなど、建ぺい率の緩和条件に合致する土地を含めて検討するのもよいかもしれません。
そして土地面積が狭く、建ぺい率も低い土地で最も大切なのが、広々とした居住空間を確保する設計手法です。壁や柱の少ない開放的な空間づくりをしたり、中二階やスキップフロアで立体的に空間を活用したりすることで、建築面積を増やさずにゆとりある居住空間を作り出すことができます。
建ぺい率が厳しくコンパクトな土地では、家を建てる工法についてもよく考えましょう。昔ながらの木造在来工法の住宅では、耐震性を上げるために必要な筋交いなどの斜め材が、開放感を損ないがち。狭小地では3階建てで床面積を増やすことが多いですが、平屋や2階建てよりも重量が増えるため、大量の耐力壁が必要になります。鉄骨造や鉄筋コンクリート造なら開放的な空間づくりはしやすいですが、木造に比べて建築コストが高くなりがちです。
そこで活躍するのが「SE構法」という建築手法。柱と梁を剛接合したラーメン構造により、高い耐震性を担保しながら大スパンや大間口による開放的な空間を作ることが可能です。3階建て以上の住宅であっても、高い耐震性と間取りの自由度を両立しながら木造で建築できます。
ラーメン構造とは?他の構造との違いが生み出すメリットを徹底解説
土地を購入して家を建てるときには、建ぺい率をはじめとするさまざまな規制が関わってきます。同じ土地でも建てられる家が変わってくるため、各種規制を踏まえた土地探しや家づくりをすることが大切です。不動産会社や設計士などのプロに相談しながら計画を進めましょう。
また限られた土地を最大限に活かすには、家づくりの工法選びもとても大切です。耐震性と自由な間取りを両立させたい方は、SE構法での家づくりを検討されてはいかがでしょうか。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)