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【解説】大規模木造に最適なSE構法の設計ポイントまとめ

  • 【解説】大規模木造に最適なSE構法の設計ポイントまとめ -

大規模木造を計画する場合、規模的に構造計算が必須となりますので、構造設計のパートナー選びが重要になります。現実的には木造に対応できる構造設計者が不足しているため、計画に際しては早い段階から構造設計者を決める必要があります。設計事務所様や工務店様、建設会社様が大規模木造に取り組む際、「木造で何がどこまでできるのか?」「木造の構造設計とは?」「意匠設計での制約は?何を気を付けるべき?」などの疑問や悩みがあると思われます。このコラムでは大規模木造に最適なSE構法の設計ポイントについて徹底解説します。

 

<このコラムでわかること>

SE構法構造システムの概要

SE構法構造計算とは?

SE構法構造設計のポイント1:構造グリッド意匠構造の整合性が鍵

SE構法構造設計のポイント2:構造計算に基づく設計の自由度

SE構法構造設計のポイント3:強靭な構造躯体で実現できる大規模木造

大規模木造SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

SE構法の構造システムの概要

SE構法の構造システムの概要

SE構法の構造設計はすべてNCNで行い、その安全性を確認するようにしています。構造計算は立体解析で行い、SE構法の接合部等の性能を忠実に反映できる構造システムです。

SE構法専用に開発された「SE-CAD」は、プレカット加工情報や接合部情報(ドリフトピン・SE金物)をすべて立体データで処理できるCADとなっております。SE-CADは梁サイズと接合金物の組合せ等を自動で判定するなど、合理的なCADシステムになっています。

耐力壁は釘間隔によって区分したブレース置換して解析しています。

水平剛性は等価部材に置換して、すべての部材において剛性マトリックスによる立体フレーム解析を行っています。

構造計算は許容応力度計算を行い、その構造計算書の出力結果は検定値一覧として安全性をカラー表示して、視覚的に理解することができます。

関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施

 

SE構法の構造計算とは?

SE構法の構造計算とは?

SE構法は、柱や梁そのものを互いに剛接合し、強固な構造躯体をつくり上げます。SE構法は構造計算によってあらかじめ地震の揺れや風の力を予測し、それに耐えうる性能を持った大規模木造を可能にしています。

構造計算を実現するには以下の条件があります。こうした条件を満たすことによって構造計算が可能になり、SE構法は建築物の安全性を数値によって証明できるのです。

  • 建築物の構造を構成するすべての部材の強度が分かっていること。
  • 接合部に強度の基準があること。 
  • 基礎や構造部材、接合部の強度が一定の基準値を満たしていること。

SE構法の構造計算は、以下の流れで行います。

  • 意匠の設計図を基に、「構造計画」を行う
  • 構造伏図を描き、「構造設計」を検討する
  • 重力や地震、台風を想定した、鉄骨造やRC造と同じ「構造計算」を行う

こうした構造計算により、きたる自然災害に耐えうる強靭さを備えた上で、大規模木造が実現できるのです。

関連記事:耐震構法SE構法はより耐震性能を高める構造計算が可能な理由

 

SE構法の構造設計のポイント1:構造グリッドの意匠と構造の整合性が鍵

SE構法の構造設計のポイント1:構造グリッドの意匠と構造の整合性が鍵

SE構法の構造計算は、立体フレームモデル(接合部にバネがあるモデル)で立体解析を行っており、床や屋根の水平構面は変形する前提で解析しています。また、接合部や層間変形角の確認など高度な構造特性を活かした構造設計をおこなっています。

SE構法のポテンシャルを最大限に活用するために抑えておきたいのが「構造グリッド」の考え方です。構造グリッドを有効に活用した設計を行うことで、意匠と構造の計画的な整合性が上がり、構造躯体のコストパフォーマンスも向上します。

関連記事:「耐震構法SE構法で構造とコストを両立させる鍵は構造グリッドの理解

 

SE構法は、設計から施工までのシステム化された仕組みに加えて、構造用集成材の一般流通材をベースとした構造材と専用のSE金物による合理的な構造フレームと耐力壁の併用により、コストパフォーマンスの高い大規模木造が可能になります。

関連記事:「耐震構法SE構法が「強くて、安い」のは構造フレームと耐力壁にワケがある」

 

SE構法の構造設計のポイント2:構造計算に基づく設計の自由度

SE構法の構造設計のポイント2:構造計算に基づく設計の自由度

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。その理由は下記です。

 

1.SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできる

→SE構法は構造架構(構造フレーム)は独自の接合金物によって高い性能を発揮します。その構造フレームと併用可能な耐力壁(合板の厚みや釘ピッチを変えることで調整)の強度を調整することにより、大空間や大開口を実現します。

 

2.SE構法は構造上必要な耐力壁を、適切な構造設計により、意匠設計に合わせて配置することが可能

→耐力壁は、合板の厚みや釘ピッチによる剛性の違う壁のバリエーションをつくることで、均等でない壁の配置であっても構造上バランスの取りつつ、設計の自由度の高い木造建築を実現します。

 

3.SE構法は明確な構造計算に基づいているので、安心して設計に集中できる。

→SE構法の特徴である構造計算から材料の品質管理までワンストップでサポートします。

 

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

SE構法の構造設計のポイント3:強靭な構造躯体で実現できる大規模木造

SE構法の構造設計のポイント3:強靭な構造躯体で実現できる大規模木造

SE構法で大規模木造を計画するメリットは、木造では構造的に実現が難しいと思われる建築物を実現できることです。代表的なポイントが下記です。

1.耐火建築物

耐火建築物

耐火建築物は、建築基準法上、最高水準の防火性能を有する建築物です。たとえ消火活動が実施されなかったとしても、想定される火災で建物が燃えた後も崩壊せず、自立し続ける性能をもつのが耐火建築物です。木造で耐火建築物を建設することは可能です。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

 

2.準耐火建築物

大規模木造は準耐火建築物で実現するとコストパフォーマンスが向上

木造は準耐火建築物であれば、建築基準法改正による優遇や、耐火建築物と比較してコストパフォーマンスが向上するなどのメリットが大きくなります。

関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ

 

3.木造4階建て

木造4階建てのSE構法の事務所ビルの事例紹介「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

都市部の厳しい敷地条件の中、4階建ての計画において鉄骨造ではコストや施工に問題がある場合においても、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。

関連記事:木造4階建てのSE構法の事務所ビルの事例紹介「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

 

4.混構造(木造+鉄筋コンクリート造)

混構造(木造+鉄筋コンクリート造)

全てを木造で成立させることが難しい場合、木造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた混構造として、それぞれの構造の長所を併せ持つ建築物を建設することが可能です。

関連記事:木造と鉄筋コンクリート造の混構造を徹底解説

 

5.大スパン(トラス)

大スパン(トラス)

大スパンの空間を計画するにあたり、単純梁の構造の場合だと、特注材製作による納期、搬入が可能かどうか、コストアップになるなどの問題で、現実的に単純梁を採用することができないことが多いです。一つの選択肢としてトラスは有効な設計手法です。

関連記事:耐震構法SE構法によるトラスで大空間を実現する

 

6.大スパン(張弦梁)

大スパン(張弦梁)

SE構法では一般的に流通している中断面の構造用集成材と鋼材ロッドを用いて張弦梁を構成することで、大断面の特注材を用いるよりもコストダウンを実現し、軽快な印象の大空間を実現できます。

関連記事:耐震構法SE構法では張弦梁を採用して軽快な印象の大空間を実現できる

 

7.大空間、大開口

大空間、大開口

SE構法を構造スペックをうまく活用することで、木造の在来工法では実現が難しい大空間、大開口、大スパン、木造耐火などを実現することができます。

関連記事:SE構法による大開口、大空間、大スパン、木造耐火の事例まとめ

 

大規模木造をSE構法で実現するポイント

大規模木造として店舗をSE構法で実現するポイント

大規模木造をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

 

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる大規模木造を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築を慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

大規模木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。