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WOODEN STRUCTURE中大規模木造

大規模木造で知っておきたい森林認証制度(FSC、PEFC)の概要

  • 大規模木造で知っておきたい森林認証制度(FSC、PEFC)の概要 -

SDGs、脱炭素、ESG投資への流れが、木造化・木質化を加速させています。期待されているのが、中大規模木造の普及です。全世界的な環境意識の高まりもあり、注目されているのが木材に関する「森林認証制度」です。代表的な森林認証制度は「FSC」と「PEFC」の2つで、世界中で最も広く普及していてる認証制度です。正しく認証された木材で建てたれた建築物は社会や発注者から強く求められています。このコラムでは、中大規模木造の実務で必ず知っておきたい「森林認証制度」についてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

・SDGs脱炭素社会ESG投資の視点からも注目される大規模木造

・大規模木造で注目される「森林認証制度」とは

・大規模木造で知っておきたい森林認証制度1(FSC

・大規模木造で知っておきたい森林認証制度2(PEFC

・大規模木造で重要となる森林認証制度のメリット

・SE構法森林認証取得している構造材で大規模木造を実現

・大規模木造SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

SDGsや脱炭素社会、ESG投資の視点からも注目される大規模木造

SDGsや脱炭素社会、ESG投資の視点からも注目される大規模木造

「持続可能な開発目標(SDGs)」への対応、「環境や社会、企業統治を重視する(ESG投資)」の拡大などを背景に、環境や社会への貢献度が企業価値を左右する時代が訪れています。

持続可能な木材利用を経営戦略に上手に取り組む企業が増えており、自社の事業用の建築物を木造で計画する企業も増えています。

世界的な規模で社会全体で「木をより積極的に使用する」という機運が生まれています。

森林は二酸化炭素を吸収し、森林からつくり出される木材は燃やさない限り炭素を貯蔵し続けます。

日本は2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)、2030年度までに2013年度比で46%削減する目標を打ち出しています。

森林と木材の果たす役割は大きいです。国産材には輸入材の単なる代替ではなく、未来につながる価値を持たせる必要があります。

消費者も企業も、家計や事業活動につながる施策には注目します。木材を強く経済につなげるカーボンプライシング等は、無関心層が木材利用に興味を持つきっかけになる可能性があります。

木材活用の意義や方法を発注者に発信し、カーボンニュートラル実現の大きな目標に向かって取り組みを進めていくことが求められています。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

大規模木造で注目される「森林認証制度」とは

ウッドショックが変化の起点に。脱炭素社会における木造の重要性

社会的に木造化・木質化が進んでいる中で注目されるのが、木材の「森林認証制度」です。

森林認証制度とは、独立した第三者機関が環境・経済・社会の3つの側面から一定の基準をもとに適切な森林経営が行われている森林または経営組織などを認証し、その森林から生産され木材・木材製品にラベルを付けて流通させることです。

持続可能性に配慮した木材についての企業、消費者の選択的な購買等を通じて、持続可能な森林経営を支援する民間主体の取り組みです。

ラベリングした木材・木材製品の流通のために、流通に関わる者は消費者の手元に届くまでの各段階において、認証された森林からの木材・木材製品をそれ以外のものとは区別して取り扱う体制になっていることを認証されること(Chain of Custody認証:CoC認証)が必要です。

持続可能な森林経営を行っている森林かどうかの基準・指標は、制度ごとに異なる部分がありますが、共通する項目として以下のものが挙げられます。

  1. 合法性、政策、制度枠組への遵守
  2. 森林の生産力の維持・向上
  3. 森林の環境便益の維持・向上
  4. 生物多様性の維持・向上
  5. 社会経済機能の維持・向上

以下の二つの制度が国際的に普及しています。

FSC:1993年に自然保護団体を中心にドイツで創設

PEFC:1999年に欧州で始まる

 

大規模木造で知っておきたい森林認証制度1(FSC)

大規模木造で知っておきたい森林認証制度1(FSC)

FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)は、環境団体、林業者、木材取引企業、先住民団体、地域林業組合などの代表者から構成される団体です。

1993年にWWF(世界自然保護基金)を中心に設立されました。森林認証制度の運用主体の草分け的存在です。

環境影響や地域社会、先住民族の権利などを含む10原則56基準に沿って、FSCが認定した認証機関が審査を実施することになっています。

最近では、国や地域の状況にある程度合わせた国別基準や小規模経営者向けの審査手順など、多様な森林や所有者をカバーできるしくみができています。

国際基準なのであらゆる国、地域や森林タイプに適応できる原則基準があり、木材の輸出事業者が取得することが多い仕組みです。

 

大規模木造で知っておきたい森林認証制度2(PEFC)

大規模木造で知っておきたい森林認証制度2(PEFC)

PEFC(Program for the Endorsement of Forest Certification Schemes:PEFC評議会)は、欧州の林業団体が各国の制度を相互承認する組織として1999年に設立されました。

各国にある森林認証を、貿易上、相互に認め合うための仕組みがPEFC認証です。

世界統一の規格や基準は設けておらず、国別で決められた審査基準を加盟国家内で相互認証する仕組みです。

個別の森林管理についてPEFCが直接認証するのではなく、加盟国が集まって策定された「政府間プロセス」という基準を採用している規格要求を満たしているとPEFCが認めた場合、その国独自の森林認証制度をPEFCが承認する制度です。

2003年に非ヨーロッパ諸国の参加もあり、旧名(Pan European Forest Certification Schemes)から「PEFC森林認証プログラム」(Program for the Endorsement of Forest Certification Schemes)に改称して以降、急速に拡大し、認証面積では世界最大となっています。

SE構法で使用する構造用集成材は、PEFCのCoC認証を取得しています。これにより、SE構法が、持続可能な方法で管理されている森林から採取した木材の供給・管理システムを有することを証明しています。

関連記事:SE構法の構造用集成材について

 

大規模木造で重要となる森林認証制度のメリット

ウッドショックが示した木造の危機と大規模木造の可能性

森林認証制度の主なメリットは下記の3点です。

・環境に配慮した持続可能な森林経営を行っていること、そうした森林経営のもとで産出された木材等を販売・使用していることについて社会的に認知されることで、企業としての環境配慮姿勢やCSR(企業の社会的責任)への取り組みをアピールすることできます。

・認証された森林から産出される林産物にラベリングを行うこと、ラベリングされた製品を使用することにより、自社製品の差別化が図られ、環境配慮商品として消費者にアピールできるなど、付加価値を高めることができます。

・認証された森林から産出された製品等を販売・使用することで、森林保護の支援や地球環境の保全にも貢献できます。

 

それぞれの制度には異なった背景や目的があり、認証する内容やその手続きにも違いがあります。

基準・指標の策定経緯や内容、認証審査機関の登録認定手続き、認証審査の単位レベル、現場での審査内容、製品への認証材以外の原料の混合、コストなど、様々な違いについて把握することがまず重要です。

その上で、それぞれの認証制度やその認証森林が、調達製品のリスクを十分にクリアできるかどうかについて、調達・購入時に判断していくことが求められます。

また、認証制度の評価については、世界銀行が認証制度の評価ツールを作成したり、欧州のいくつかの政府調達制度で評価が実施されたりしています。

 

SE構法は森林認証取得している構造材で大規模木造を実現

SE構法は森林認証取得している構造材で大規模木造を実現

大規模木造で使い勝手の良いSE構法のシステムや構造材には、以下のような特性があります。

1.SE構法の構造材は森林認証(PEFC)を取得

SE構法で使用する構造用集成材は、世界最大の森林認証統括組織であるPEFCのCoC認証を取得しています。これにより、SE構法が、持続可能な方法で管理されている森林から採取した木材の供給・管理システムを有することを証明しています。

関連記事:SE構法の構造用集成材について

 

2.SE構法で使用する構造用集成材はJAS構造材

大規模木造では、性能が分かっているJAS認定材料を使うことが重要になります。大規模木造では構造計算が必須です。基準強度などの品質性能がはっきりしたJAS構造材の需要は今後増してきます。JAS構造用製材は、設計の自由度を高めることにもつながります。SE構法で使用する構造用集成材は全てJAS構造材です。

関連記事:JASとは「日本農林規格」。JAS構造材の基礎知識

 

3.大規模木造で「非住宅版SE構法構造性能保証」が使える

株式会社エヌ・シー・エヌでは、業界初※の基礎まで含んだ、非住宅の構造品質を標準で担保する保証制度をスタートしました。(※NCN調べ:2021年9月時点)

構造性能保証のスタートによって、SE構法は構造設計から、材料調達、施工、さらには引き渡し後の構造性能保証までのワンストップサービスによって中大規模木造建築に取り組む設計者・施工者の皆様の課題解決をサポート致します。

関連ページ:【業界初】非住宅版SE構法構造性能保証サービススタート

 

大規模木造をSE構法で実現するポイント

幼稚園に木造が適している理由

大規模木造をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築を慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

大規模木造に取り組むには、木材の素性が分かる森林認証材やJAS認定品の知識は不可欠です。

FSCなどの森林認証制度は今後、社会の要請のなかでより発展していく仕組みでもあります。

環境保全など社会の潮流に敏感な企業は、森林認証制度を企業姿勢をアピールできる機会ととらえて、積極的に利用し始めています。

環境への意識の高まりも相まって、この森林認証製品を選ぶ生活者が増加しています。その結果、適切な森林管理につながるという仕組みです。

森林を持続可能なものにしていく森林認証制度と、木材の品質を担保するJAS認定品の使用は、社会と時代の要請として、今後いっそう進むことが予想されます。

 

NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。