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SE構法の学校の事例紹介「東京インターナショナルプログレッシブスクール」

  • SE構法の学校の事例紹介「東京インターナショナルプログレッシブスクール」 -

木造は、学校に求められる設計に対応しやすい工法です。学校を計画する際に、鉄筋コンクリート造ではコストや工期に対応できない場合は、大規模木造として計画することが有効な選択肢となります。学校は地域で求められる施設でもあり、生徒や職員さんなどが長時間過ごす空間でもありますので、愛着を感じやすい木造建築は適していると言えます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる学校を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。このコラムでは木造の構造躯体にSE構法を採用した学校の事例紹介をしながら、意匠計画やSE構法の構造設計等のポイントについてお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

・学校大規模木造SE構法)で実現する時代

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の概要

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」意匠設計

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」構造設計

・SE構法木造耐火学校を実現するための注意点

・SE構法による学校(インターナショナルスクール)事例

学校木造が適している理由

SE構法学校に適している理由

大規模木造として学校SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

学校を大規模木造(SE構法)で実現する時代

介護施設を大規模木造(SE構法)で実現する時代

発注者のSDGsや脱炭素社会、カーボンニュートラルに貢献できる建築を作りたいという意向が強まっており、非住宅建築に木造(SE構法)が採用される事例が増えています。

関連記事:木造化が必須な時代に!発注者向け大規模木造のメリット解説

学校においては、SE構法の構造スペックをうまく活用することで、木造では実現が難しい大空間や大開口がある建築を実現することができます。

学校は鉄筋コンクリート造で計画されることが多かった用途の建築ですが、木造で計画することでコストを抑えつつ、温かみを感じる建築を実現することができます。

学校は、建築基準法上「学校」に分類され、法27条による特殊建築物です。学校を計画する際に注意すべきことは、建築基準法以外に学校教育法の設置基準によって規定されている項目を遵守することです。学校における建築基準法の規定の詳細については下記の記事をご参照ください。

関連記事:木造で学校を計画するための関連法規まとめ

 

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の概要

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の概要

「東京インターナショナルプログレッシブスクール」は、英語教育を基軸とする株式会社東京インターナショナルスクールグループが2000年に設立した国際版の特別支援学校です。

現在はNPO法人として「インクルージョン教育」という理念を掲げ教育活動を行っています。インクルージョン教育とは、人間の多様性を尊重し、ともに学ぶ教育環境を指します。この学校では、一般的なインターナショナルスクールになじめない生徒、あるいは軽度の発達障害を持つ生徒を受け入れています。

定員は60名で、小学校4年生から高校3年生の生徒が通い、大学進学率は80%を越えます。生徒には外国企業の駐在員の子どもも多く、同種の学校はほかにないため、日本で唯一の存在です。

教員には世界各国の教員資格を持つ人たちが集まっており、ほかにカウンセラーや理学療法士など生徒たちのさまざまなコンディションに対処するスペシャリストたちが定期的に通ってきます。

「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の設計・施工を担当したのはSE構法登録施工店である本間建設株式会社様です。

本間建設様のウェブサイトはこちらです。

 

<「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の概要>

・用途:学校

・構造:木造(SE構法)

・階数:3階建て

・延床面積:512.87㎡

 

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の意匠設計

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の意匠設計

「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の新校舎は、東京都世田谷区の多摩川を間近に望む住宅地域の一角に完成しました。

敷地は、東急田園都市線二子玉川駅から西に1km、第1種中高層住居専用地域に建ちます。北側接道で南側は多摩川の土手に面し、眺望も開けていて緑が多い場所です。運動場や憩いの場的なスペースとの近接は、敷地選定の重要条件のひとつであったそうです。

校舎計画は、1クラスは最大で10名、コモンルームに次いで大きな視聴覚室と理科室も含め、さまざまなかたちとサイズの教室が廊下を挟んで並びます。中央に廊下を貫通させ、各階で多摩川まで視線が抜けるように配慮されています。

1階はコモンルームと廊下を一体感のある空間としてまとめるアイデアがありましたが防火と遮煙の壁が必要となるため、その壁面を利用して生徒たちが制作したアートワークで飾られています。

各教室の入口には、教室の番号と教員の名前が顔写真入りで掲げられています。席の配置は教室ごとにそれぞれ異なっています。

また、廊下にもところどころに机と椅子が置かれていて、生徒たちは自由にそこを使って個人学習などをできるような配慮がされています。教員室を設けず、教員は自分のクラスをベースに、授業のプリントの準備などは廊下に設けられた専用スペースで行います。

コモンルームだけでなく、廊下にも教育のアクティビティが現出しています。廊下という機能空間をパブリックスペースとして多用途に活用し、同時に生徒の多様な居場所を生み出しています。

エントランス脇の事務室以外はすべて教員と生徒がともに使える空間であり、それぞれが工夫して使っています。人と人との距離の近い学びの舎であり、そこに校名にプログレッシブという言葉を入れた教育理念の一面が現れています。

この木造の学校には、地域に貢献する学校としてさまざまな設計のアイデアが盛り込まれています。

 

意匠設計のポイントは下記です。

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の意匠設計・クラスルームは、窓位置に対応してホワイトボードの位置や机の配置が異なっています。教室名には教員の名前が記されています。

関連記事:耐震構法SE構法のプランニングがうまくいく設計の考え方を徹底解説

 

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の意匠設計

・廊下に置かれた机は自習用で、生徒たちの多様性を考慮し、廊下にもところどころに机が配置されています。

川のそばなので地盤は良好とはいえない敷地です。RC造や鉄骨造では基礎工事に多くのコストがかかることが考慮され、木造でSE構法という選択がされ、3階建ての耐火建築物として建設されることになりました。

関連記事:中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計

 

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の構造設計

SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい大空間、大開口などを実現することができます。

SE構法であれば、学校で求められるスパンの大きい空間にも対応できますし、架構をシンプルにすることが可能です。

SE構法は、許容応力度計算に加えて偏心率のバランスを考慮した構造設計を行なっておりますので、外壁(耐力壁)の位置も意匠のデザインに合わせて決定することができます。

SE構法は、独自のSE金物を使用した断面欠損の少ない構造によって柱と梁とを接合し、優れた耐震性能を実現しています。SE構法は表面にネジ切り加工を施した通常のボルトの約2倍の強さを持つSボルトを木材にねじ込み、高強度のSE金物との組み合わせにより、耐震性の高いラーメン構造を実現しています。

 

今回の学校におけるSE構法の構造設計の主なポイントは下記です。

SE構法の学校「東京インターナショナルプログレッシブスクール」の構造設計

1.SE構法で実現する木造の大空間

上記写真は1階西側のコモンルームで、約10,500mm×7,600mmの変形四角形の無柱空間です。

右側の壁面から2箇所張り出しているのは120mm×360mmの平角柱で、120mm角の柱に対して添え柱的に設置され、成600mmの梁を受けています。

多摩川に面する南側には大きな開口を設けています。

木造3階建てでかつ1階の大スパンと大開口に対応するために、南面には120mm×240mmの平角柱をダブルで入れています。

関連記事:耐震構法SE構法が「強くて、安い」のは構造フレームと耐力壁にワケがある

 

SE構法の構造設計の実力:平面斜辺の事例

2.SE構法による平面斜辺の対応

SE構法では平面斜辺による平面計画が可能です。建物形状に合わせて建物の一部の外壁を平面斜辺にできますので、敷地を有効に利用できる設計が可能になります。

通常、SE構法の梁受け金物は平面的にT字型であり、柱の面に梁受け金物を取り付け、梁を落とし込み、ドリフトピンで接合します。

SE構法の平面斜辺の場合には、梁受け金物をその平面斜辺の角度に合わせて特注で製作します。柱の面に梁受け金物を取り付けるディテールは同じですが、梁を受けるプレートが平面斜辺の角度に合わせて曲げられています。

この学校は不整形な敷地形状なので平面はそれに合わせた変形四角形がベースとなり、さらに教室の平面形に鋭角が現れないこと、北西側の角に送迎用バスの駐車スペースを確保するために、2箇所の角を削ることが求められ、最終的に変形六角形平面となっています。

関連記事:耐震構法SE構法は斜辺やR壁の平面計画に対応可能

 

3.SE構法で木造の耐火建築物を実現

この学校は耐火建築物として荷重も重くなる大規模木造ですが、基本的には住宅スケールで使用する構造用集成材の規格材を基本に構造躯体を成立させています。

学校として将来的なレイアウト変更などもしやすいように、可変性を高めた計画となっています。

構造計画の基本的な考え方は、西側の大きな空間を門型フレームを用いた架構として計画し、廊下を挟んで東側には水回りを中心とした小さな空間に耐力壁を多く配置することで耐震性を確保しています。

3階建てで最高高さを10mに抑えたうえで、1階の大空間を成立させるために、短辺方向に600mm成の梁を飛ばしています。

 

SE構法で木造耐火の学校を実現するための注意点

SE構法で木造耐火の学校を実現するための注意点

木造の耐火建築物は、耐火要件を満たすために使用する石膏ボードの量などが大幅に増えることもあり、建物の荷重は通常の木造よりもかなり重くなります。

設計の注意点としては、建物重量が重くなることから耐震性能の確保が難しくなったり、耐火被覆材の貫通、穴あけが制限されたりしますので、早い段階から構造設計、設備設計とのすり合わせが必要です。

この学校においても建物に耐火被覆を​​施し、かつ設備機器を設置するので、それらの納まりの諸寸法と少しでも高くしたい各階教室の天井高の間で、細かな寸法調整がなされています。

SE構法は、独自のSE金物を使用した断面欠損の少ない構造によって柱と梁とを接合し、優れた耐震性能を実現しています。SE構法では表面に凹凸加工を施した通常のボルトの約2倍の強さを持つSボルトを木材にねじ込み、高強度のSE金物との組み合わせにより、耐震性の高いラーメン構造を実現しています。

SE構法は高い構造スペックにより、荷重が重くなる木造の耐火建築物にも対応できます。

大規模木造として耐火建築物を実現するためには、SE構法は最適な構法です。構造設計から構造材の材料供給、施工のサポートまでワンストップサービスで提供できるからです。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

 

SE構法による学校(インターナショナルスクール)の事例

SE構法による学校(インターナショナルスクール)の事例

SE構法による学校(インターナショナルスクール)の事例は他にもあります。

軽井沢の木立の広がる約7,000坪の広大な敷地で構想された、男女共学の全寮制高等インターナショナルスクールです。建物は傾斜に合わせて、北側から寮、校舎、体育館の順に配置されています。

周辺の自然環境の中にあっては木造がふさわしいとして、また自由度の高い大空間をつくる必要性から、大きなスパンを確保できるSE構法が選定され、プランニングに反映されています。

SE構法による学校(インターナショナルスクール)の事例

関連記事:インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢第1校舎棟・第1寮棟

 

SE構法による学校(インターナショナルスクール)の事例
関連記事:インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢第2校舎棟

 

学校に木造が適している理由

学校に木造が適している理由

木造が学校に適している理由は下記です。

 

1.1時間準耐火構造で木造3階建ての学校が建てられる

2015年の建築基準法改正により、木造で学校が建てやすい状況になりました。

 

<建築基準法27条改正:3階建ての学校等が木造で建てやすくなる>

学校等については、避難上の安全を確保するため、以前は3階建て以上は耐火建築物にする必要がありました。

2015年の建築基準法の改正により、3階建ての学校等について一定の延焼防止措置を講じた1時間準耐火構造の建築物とすることが可能になり、木造の学校等が建てやすくなりました。

※ 学校等とは、学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、水泳場またはスポーツ練習場をいいます。 

※ 延焼防止措置として、ひさし又はバルコニーの設置や、天井の不燃化等の対応があります。

 

<建築基準法21条改正:3,000 m2を超える建築物が木造で建てやすくなる>

従来は、延べ面積 3,000m2を超える建築物は大規模な火災を防止するため、耐火構造等とする必要がありました。

2015年の建築基準法の改正により、これらの規模の建築物であっても 3,000m2以内毎に耐火性の高い壁等で区画することで、耐火構造以外の建築物とすることができるようになり、3,000m2を超える木造の建築物が建てやすくなります。

関連記事:木造で学校を計画するための関連法規まとめ

 

2.木造は減価償却期間が短い

減価償却資産の耐用年数ですが、学校(鉄筋コンクリート造47年、木造22年)となっており、木造の減価償却期間が鉄骨造より短く設定されており、建物を所有する事業者にとっては、年間の経費をより多く計上することができ、節税効果を得ることも可能です。

学校ではライフサイクルコストも重要であり、計画から解体工事までをトータルで考える必要があります。

木造の減価償却期間は、税法上の法定耐用年数をもとに設定されており、必ずしも実際の建物の寿命とイコールではありません。現代の木造建築ではメンテナンスを適切に行うことで更に長期に使用することも可能です。

関連記事:店舗、事務所、倉庫を木造で計画するメリット

 

3.木造はSDGsや脱炭素社会、ESG投資に対応しやすい

SDGsの急激な浸透もあり、カーボンニュートラルな社会への転換は世界の共通課題です。脱炭素社会実現のための課題解決に向けた取り組みが、これからの施設建設にも求められています。脱炭素社会に向けて、施設の木造化・木質化は推進する要素の一つになります。

木造は建築時に炭素排出が少なく、木は炭素を固定し貯蔵する特性があるなど、「地球環境に優しい工法」として注目されています。

近年、「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」が強く意識されるようになりました。

民間で建設する建築物で木造化、木質化を図ることは、こうした流れに沿うものとして評価されていくことが予想されます。木造化・木質化には、地球温暖化防止と持続可能な森林経営の下支えという二重の意味を持ちます。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

4.木造は建設コストが安い

木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の構造より建設コストが安く、事業者もしくはテナント契約者の双方にコストメリットが働く可能性もあります。

木造と鉄骨造で使用する建材を部材ごとに比較しても、規格寸法があるアルミサッシなど、ほとんどの建材が木造のほうが安くなります。

基礎の断面寸法が鉄骨造と比較してとても小さいことから、基礎工事の材料費、施工費、残土処分費なども大幅に軽減できます。建物重量がとても軽くなることから、地盤改良コストも抑えることができます。

設計に関しては、木造のモジュールを意識した設計とすることで、材料の歩留まりがよくなり、施工手間が軽減されることで、結果として建設コストが安くなります。

関連記事:中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント

関連記事:中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方

 

SE構法が学校に適している理由

SE構法が介護施設に適している理由

SE構法が学校に適している理由は下記です。

 

1.工期が短いため事業に対応しやすい

学校の建設を実現するには、短工期に対応する必要があり、そのために最も適した工法が「木造」になります。

NCNが提供するSE構法は、一般に流通している構造用集成材を採用している工法のため、原則構造材発注後60日間で構造材を現場に搬入することが可能です。(特注材の有無や社会情勢等により変動がありますので計画時にお問合せください)

構造躯体の加工は全て提携するプレカット工場で加工後に現場に搬入しますので、工事着工から建て方まで短期間にスムーズに進められます。

関連記事:補助金事業には木造がベスト!木造がRC造やS造より工期短縮できる理由

 

2.耐火建築物・準耐火建築物に対応しやすい

木造で計画する際には、まず耐火要件を確認する必要があります。木造は耐火建築物・準耐火建築物・その他建築物と要求される耐火性能によって、意匠性、コスト、工期等に大きく影響してきます。計画の初期段階より、木造の耐火要件を押さえておくことによって、以後の計画をスムーズに進めることが可能です。

階数や規模により建築基準法で「耐火建築物」とすることが求められることがあります。「木造耐火」の仕様を満たす必要がありますが、木造(SE構法)でも「耐火建築物」の対応は可能です。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ

学校のように低層の建築は、計画内容を整理し、可能ならば準耐火建築物の仕様で設計することができると、耐火建築物と比較してコストパフォーマンスの高い木造建築が実現できます。

関連記事:木造の準耐火建築物の可能性が広がる!改正建築基準法の解説

 

3.木造建築は人や環境に優しい

木の温かみ、香りは人の気分を和らげてくれる沈静作用があります。木はやすらぎと心地よさをもたらしてくれる優しい材料です。

教育施設の調査において木材利用は、子ども達のストレス緩和、集中力の向上、インフルエンザや怪我の抑制効果などの報告があり、木造の建物は健康にも優しい建築物です。

関連記事:中大規模木造は人や環境に優しい理由

 

大規模木造として学校をSE構法で実現するポイント

大規模木造として介護施設をSE構法で実現するポイント

学校をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築に慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

SDGs、脱炭素社会、ESG投資への対応が求められる時代になり、学校を木造で建設することは、自社の企業姿勢を訴求できることにつながります。

学校のような用途の建築においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。