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SE構法による店舗の事例まとめ

  • SE構法による店舗の事例まとめ -

 近年、建設業界は、ウッドショック、半導体不足による設備機器の品薄、更に資源インフレや労務費高騰と困難な状況が続き、未だ回復の兆しは見えていません。

 店舗の計画において鍵となるのは、資材価格高騰に応じたコスト調整です。資材価格高騰とどう向き合っていくかが、店舗の計画においても重要なテーマになっています。

 SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな木造建築の実績が増えています。

 このコラムでは店舗に最適なSE構法の事例紹介とその実務ポイントについて解説します。

 

<このコラムでわかること>

店舗計画の資材高騰対策に有効なのがSE構法

・SE構法店舗の事例(事務所併用):ANNEX  TSUTENKAKU TOWER

・SE構法店舗の事例(木造ビル):「松華堂菓子店」

・SE構法店舗の事例(ショールーム):「NEXTAGE横浜町田」

店舗木造が適している理由

・SE構法店舗に適している理由

大規模木造として店舗SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

店舗計画の資材高騰対策に有効なのがSE構法

店舗計画の資材高騰対策に有効なのがSE構法

資材価格高騰による影響がこれから更に現れてくると考えられ、これからの店舗の計画では今まで以上にコストへの対応が必要な状況です。

特に、高品質で低コスト、短工期が求められる店舗を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:建設会社の資材高騰対策に木造は有効!その鍵はワンストップサービス

 

店舗は、法27条による特殊建築物です。3階建て以上は耐火建築物、2階建てで床面積の合計が500m2以上の場合は準耐火建築物とする必要があります。店舗における建築基準法の規定の詳細については下記の記事をご参照ください。

店舗における建築基準法の規定の詳細については下記の記事をご参照ください。

関連記事:木造で店舗を計画するための関連法規まとめ

店舗のような用途の建築においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、工期短縮、施工性向上を実現することができます。

SE構法を採用して実現した店舗の事例を順にお伝えします。

 

SE構法の店舗の事例(事務所併用):「ANNEX TSUTENKAKU TOWER」

SE構法の店舗の事例(事務所併用):「ANNEX  TSUTENKAKU TOWER」

「ANNEX  TSUTENKAKU TOWER」はSE構法による木造3階建で、1.2階に物販店舗、3階に事務所が入ります。

敷地は商業地域にある都会の密集市街地でもあり、当初は鉄筋コンクリート造や鉄骨造など他工法も検討されましたが、発注者のSDGsや脱炭素社会にも貢献できる建築という意向があり、木造(SE構法)が採用されました。

 

計画上のポイントは下記です。

耐火建築物や準耐火建築物ではなく「その他の建築物」として計画

・建物は敷地形状になぞって建ち、東西に細長く、途中でくの字に折れている平面形状

・ガラスのファサードを通じて、開放的な木質空間の雰囲気が伝わる建築デザイン

 

この店舗におけるSE構法による構造設計の主なポイントは下記です。

SE構法によるスパン3.37mの門型フレームを1.2m間隔で並べた架構

・長手方向は門型フレーム同士を梁などでつなぎ、外壁面を耐力壁で固める

「への字型」の平面形状を耐震性を高める構造計算で実現

 

SE構法で実現した店舗(事務所併用)の事例は下記です。

関連記事:SE構法の店舗、事務所の事例紹介「ANNEX TSUTENKAKU TOWER」

 

SE構法の店舗の事例(木造ビル):「松華堂菓子店」

SE構法の店舗の事例(木造ビル):「松華堂菓子店」

「松華堂菓子店」は、宮城県宮城郡松島町に建つ土産物屋、菓子店とその工場、カフェ、住宅からなる3階建ての複合建築です。

東日本大震災により津波の被害は受けましたが、構造体にダメージはなく、大地震の揺れに耐えている木造建築です。

 

計画の主なポイントは下記です。

東、南面に設けられた大きな庇の深い軒と軒裏の垂木が印象的な外観デザイン

木造建築でありながら大きな開口部が特徴的

西側は白い漆喰塗りの壁を立て、その手前に開放的なスケルトンを置く構成

 

この店舗におけるSE構法による構造設計の主なポイントは下記です。

5,460mmスパンの門形フレームを1,820mmピッチでY方向に連続させ、X方向は西側の壁と階段部分の耐力壁で耐震要素を確保

門形フレームのメンバーで、170mm角の柱をダブルに抱き合わせて用い、2階の床梁は成500mm、3階の床梁は成450mmで組んでいる

SE構法の構造合理性を発揮できる170mm角の柱を採用

 

SE構法で実現した店舗(木造ビル)の事例詳細は下記です。

関連記事:SE構法の店舗の事例紹介「松華堂菓子店」

 

SE構法の店舗の事例(ショールーム):「NEXTAGE横浜町田」

SE構法の店舗の事例(ショールーム):「NEXTAGE横浜町田」

「NEXTAGE横浜町田」は、幹線道路沿いに建つ、中古車専門の自動車ショールームです。

 

計画の主なポイントは下記です。

・敷地形状に合わせて建物の一部の外壁を平面斜辺として敷地を有効に利用

・自動車ショールームという用途から、前面道路に面してアルミサッシによる大きな開口部が連続する外観デザイン

 

この店舗におけるSE構法による構造設計の主なポイントは下記です。

・店舗で求められる大開口、大空間を実現

・平面斜辺による平面計画を実現

 

SE構法の平面斜辺の場合には、梁受け金物をその平面斜辺の角度に合わせて特注で製作します。柱の面に梁受け金物を取り付けるディテールは同じですが、梁を受けるプレートが平面斜辺の角度に合わせて曲げられています。

関連記事:耐震構法SE構法は斜辺やR壁の平面計画に対応可能

 

SE構法で実現した店舗(ショールーム)の事例詳細は下記です。

関連記事:SE構法の店舗事例「NEXTAGE横浜町田

 

店舗に木造が適している理由

店舗に木造が適している理由

木造が店舗に適している理由は下記です。

1.木造は減価償却期間が短い

減価償却資産の耐用年数ですが、店舗(鉄骨造34年、木造22年)となっており、木造の減価償却期間が鉄骨造より短く設定されており、建物を所有する事業者にとっては、年間の経費をより多く計上することができ、節税効果を得ることも可能です。

店舗ではライフサイクルコストも重要であり、計画から解体工事までをトータルで考える必要があります。

木造の減価償却期間は、税法上の法定耐用年数をもとに設定されており、必ずしも実際の建物の寿命とイコールではありません。現代の木造建築ではメンテナンスを適切に行うことで更に長期に使用することも可能です。

関連記事:店舗、事務所、倉庫を木造で計画するメリット

 

2.木造はSDGsや脱炭素社会、ESG投資に対応しやすい

SDGsの急激な浸透もあり、カーボンニュートラルな社会への転換は世界の共通課題です。脱炭素社会実現のための課題解決に向けた取り組みが、これからの施設建設にも求められています。脱炭素社会に向けて、施設の木造化・木質化は推進する要素の一つになります。

木造は建築時に炭素排出が少なく、木は炭素を固定し貯蔵する特性があるなど、「地球環境に優しい工法」として注目されています。

近年、「環境社会、企業統治の要素を考慮する(ESG投資)」が強く意識されるようになりました。

民間で建設する建築物で木造化、木質化を図ることは、こうした流れにより評価されていくことが予想されます。木造化・木質化には、地球温暖化防止と持続可能な森林経営の下支えという二重の意味を持ちます。

関連記事:大規模木造とSDGs・脱炭素・ESG投資の相性が良い理由

 

3.木造は建設コストが安い

木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の構造より建設コストが安く、事業者もしくはテナント契約者の双方にコストメリットが働く可能性もあります。

木造と鉄骨造で使用する建材を部材ごとに比較しても、規格寸法があるアルミサッシなど、ほとんどの建材が木造のほうが安くなります。

基礎の断面寸法が鉄骨造と比較してとても小さいことから、基礎工事の材料費、施工費、残土処分費なども大幅に軽減できます。建物重量がとても軽くなることから、地盤改良コストも抑えることができます。

設計に関しては、木造のモジュールを意識した設計とすることで、材料の歩留まりがよくなり、施工手間が軽減されることで、結果として建設コストが安くなります。

関連記事:中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント

関連記事:中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方

 

SE構法が店舗に適している理由

SE構法が店舗に適している理由

SE構法が店舗に適している理由は下記です。

1.工期が短いため事業に対応しやすい

店舗の建設を実現するには、短工期に対応する必要があり、そのために最も適した工法が「木造」になります。

NCNが提供するSE構法は、一般に流通している構造用集成材を採用している工法のため、原則構造材発注後60日間で構造材を現場に搬入することが可能です。(特注材の有無や社会情勢等により変動がありますので計画時にお問合せください)

構造躯体の加工は全て提携するプレカット工場で加工後に現場に搬入しますので、工事着工から建て方まで短期間にスムーズに進められます。

関連記事:補助金事業には木造がベスト!木造がRC造やS造より工期短縮できる理由

 

2.耐火建築物・準耐火建築物に対応しやすい

木造で計画する際には、まず耐火要件を確認する必要があります。木造は耐火建築物・準耐火建築物・その他建築物と要求される耐火性能によって、意匠性、コスト、工期等に大きく影響してきます。計画の初期段階より、木造の耐火要件を押さえておくことによって、以後の計画をスムーズに進めることが可能です。

階数や規模により建築基準法で「耐火建築物」とすることが求められることがあります。「木造耐火」の仕様を満たす必要がありますが、木造(SE構法)でも「耐火建築物」の対応は可能です。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ

店舗のように低層の建築は、計画内容を整理し、可能ならば準耐火建築物の仕様で設計することができると、耐火建築物と比較してコストパフォーマンスの高い木造建築が実現できます。

関連記事:木造の準耐火建築物の可能性が広がる!改正建築基準法の解説

 

3.木造建築は人や環境に優しい

木の温かみ、香りは人の気分を和らげてくれる鎮静作用があります。木はやすらぎと心地よさをもたらしてくれる優しい材料です。

教育施設の調査において木材利用は、子ども達のストレス緩和、集中力の向上、インフルエンザや怪我の抑制効果などの報告があり、木造の建物は健康にも優しい建築物です。

関連記事:中大規模木造は人や環境に優しい理由

 

大規模木造として店舗をSE構法で実現するポイント

建設会社の構造事務所になる!大規模木造におけるSE構法の構造設計

店舗をSE構法で計画する場合のポイントは下記です。

1.低層建築における木造の優位性

木造の持つ規格化、標準化された設計・施工技術は、多様な建物や空間を低コストで実現することができます。特に、高品質で低コスト、短工期が求められる施設等を、確実に設計・施工するために有効な工法が「システム化された木造」であるSE構法です。

関連記事:「店舗、事務所、倉庫には鉄骨造より木造が「安い、早い、うまい」理由」

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.木造でよりコストパフォーマンスを高める(木造の構法による比較)

大規模木造の計画において、木造建築に慣れていないと過大にコストや工期が膨らんでしまうことがあります。それを避けるためには、構造躯体は一般用流通材を使うことを前提に構造計画を行うことが基本です。

関連記事:「中大規模木造でコストダウンできる構造計画、構造躯体の考え方」

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造建築では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

SDGs、脱炭素社会、ESG投資への対応が求められる時代になり、店舗を木造で建設することは、自社の企業姿勢を訴求できることにつながります。

店舗のような用途の建築においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、納期短縮、施工性向上を実現することができます。

SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。

計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。

 

集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。

「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。