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「まずはココを押さえよう初心者のための木造防耐火」セミナーレポート

  • 「まずはココを押さえよう初心者のための木造防耐火」セミナーレポート -

大規模木造に実務者が取り組む場合、「防耐火」の知識とノウハウが必須となります。木造独自の防耐火の考え方や、準耐火構造と耐火構造の違い、用途で変わる耐火の要求、改正建築基準法から見る防耐火設計などが押さえるべきポイントです。本記事では2021年3月10日に開催されたオンラインセミナー「まずはココを押さえよう初心者のための木造防耐火」の内容についてダイジェストでお伝えします。

 

<このコラムでわかること>

そもそも、木造耐火建築物を建てられるの?

木造耐火建築物に関する法規

木造耐火建築物の基礎知識

木造準耐火建築物のポイント

木造耐火建築物のポイント

・木造の防耐火に関する建築基準法改正のポイント

・大規模木造として耐火建築物SE構法で実現するポイント

・まとめ

 

そもそも、木造で耐火建築物を建てられるの?

そもそも、木造で耐火建築物を建てられるの?

都市部を中心に大規模木造の需要が増えています。木造は都市建築の選択肢の一つとなっています。その際に鍵となるのが「大規模木造での耐火建築物」の実現です。

耐火建築物は、建築基準法上、最高水準の防火性能を有する建築物です。たとえ消火活動が実施されなかったとしても、想定される火災で建物が燃えた後も崩壊せず、自立し続ける性能をもつのが耐火建築物です。

木造で耐火建築物の実現は可能です。SE構法においても、木造耐火建築物の実績は豊富にあります。

関連記事:SE構法、木造耐火の認定こども園の事例紹介「七里ふたばこども園」

SE構法による木造耐火建築物4階建て

SE構法による木造耐火建築物4階建ての実績もあります。都市部の計画で立地条件や地盤状態等により、鉄骨造や鉄筋コンクリート造で実現が難しい場合は、「木造4階建て」は有効な選択肢となります。

関連記事:木造4階建てのSE構法の事務所ビルの事例紹介「ヤマサ製菓ビルハピア豊橋」

 

木造の耐火建築物に関する法規

木造の耐火建築物に関する法規

木造で耐火建築物が実現するまでのプロセスは、2000年以降の度重なる建築基準法改正や各種ルールの整備の歴史でもあります。性能規定化や大臣認定、告示化等により、徐々に実現へのハードルが下がり、木造の耐火建築物を計画しやすい状況になっています。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

木造の耐火建築物の実績は年々増えている

木造の耐火建築物の実績は年々増えています。

非住宅建築においては、建築基準法、各種基準により、耐火建築物が求められることが多くなります。そのため、防火・耐火のコストをできるだけ上げないように、建築計画を慎重に検討する必要があります。

公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律木造普及の起点となったのは「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」です。低層の公共建築物は原則として木造化を図るというのが主な内容ですが、その動きが民間建築物への木材利用の促進につながることが期待されています。

2015年の建築基準法改正により、木造で学校が建てやすい状況2015年の建築基準法改正により、木造で学校が建てやすい状況になりました。従来は耐火建築物が求められていた場合でも、条件次第で準耐火建築物での対応が可能になりました。

1.建築基準法27条改正:3階建ての学校等が木造で建てやすくなる

2.建築基準法21条改正:3,000 m2を超える建築物が木造で建てやすくなる

関連記事:木造で学校を計画するための関連法規まとめ

 

木造の耐火建築物の基礎知識

木造の耐火建築物の基礎知識

上記の写真は、2012年の木造建築実大火災実験の様子です。この実験により多くの知見が得られ、その後の法改正等につながっています。

木造の防耐火のキーワード

木造の防耐火を考える上では、いくつかのキーワードがあります。

木材は、ゆっくり燃えます。

木材は、熱伝導率が鉄骨造と比較して低いことが特徴です。熱伝導率は、木質材の天然1種(檜、杉、えぞ松、とど松等)で0.12(単位:W/mk)に対して、鋼材で53(単位:W/mk)です。

大規模木造は、規模や建築基準法、各種基準により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多くなります。

耐火建築物と準耐火建築物建築基準法では、建築物に対して火災により建築物が倒壊することがないように、火災に対する防火措置を施さないまま木造等で建設することを制限し、地域、規模または用途に応じて耐火建築物または準耐火建築物としなければならないと規定しています。

耐火建築物とは、主要構造部が耐火構造であるものまたは耐火性能検証法等により火災が終了するまで耐えられることが確認されたもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を有する建築物のことをいいます。

準耐火建築物とは、耐火建築物以外の建築物で、主要構造部が準耐火構造(法2条9号の3 イ)又はそれと同等の準耐火性能を有するもので、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等を有する建築物のことをいいます。

「耐火構造」と「準耐火構造」に違いが生じるのは、加熱が終了した後の性能です。

指定された時間の加熱が終了後、「耐火構造」は引き続き壊れないものとすることが求められている構造であるのに対して、「準耐火構造」については加熱終了後の性能は規定されていません。

大規模木造は、耐火建築物と準耐火建築物の違いを理解して、適切に判断、計画することが重要です。

関連記事:木造でも耐火建築物は可能!大規模木造における耐火建築物まとめ

関連記事:広がる木造準耐火の可能性!大規模木造における準耐火建築物まとめ

 

木造の準耐火建築物のポイント

木造の準耐火建築物のポイント

準耐火構造とは、壁、床、柱等の建築物の部分の構造のうち、準耐火性能の基準に適合する構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものです。

木造の準耐火建築物には複数の仕様があります。建築基準法においては、基本的には「イ準耐」で考えることになります。

準耐火建築物であれば、「燃えしろ設計」によって木材をあらわしのまま構造部材として用いることができます。

燃えしろ設計とは、木製の柱・梁について、火災時に燃えるであろう厚みをあらかじめ構造上必要な断面に付加する手法です。これは燃え進み方が緩慢な木造の性質を工学的に評価したもので、木材による木材の耐火被覆のイメージです。

燃えしろ設計関連記事:準耐火建築物であれば「燃え代設計」により木造の構造体を現しにできる

 

木造の耐火建築物のポイント

木造の耐火建築物のポイント

木造耐火建築物で最も採用されているのは、主要構造部に木材を使ったメンブレン型耐火構造です。

木造軸組構法や枠組壁工法では、構造部材をせっこうボードなどで防火被覆した「メンブレン型耐火構造」により国土交通大臣の認定を取得した工法を採用する方法が一般的です。

木造の耐火建築物を実現するには「木を見せること」にこだわらない姿勢が重要となります。木造の耐火建築物を現実的に設計するためには、一般社団法人日本木造住宅産業協会(以下/木住協)が取得している国土交通大臣認定工法を用いるか、国土交通省告示を用いて実現する方法が現実的です。

SE構法 耐火建築物関連記事:木造の耐火建築物は「木を見せる」にこだわらず大臣認定工法や告示を使うべき理由

 

木造の防耐火に関する建築基準法改正のポイント

木造の防耐火に関する建築基準法改正のポイント

2019年の建築基準法改正により、従来は「耐火構造」であることが求められていた規制について、所定の安全措置を確保することで、それ以外の構造(「準耐火構造」)とすることが可能になりました。

2019年の建築基準法改正では、「全ての主要構造部を耐火構造とした建築物」によって確保されてきた安全性について、規模・用途・立地の3つの観点のそれぞれに応じて「主要構造部とその他の措置を総合的に評価」することで同等以上の安全性を確保することとしています。

2019年の建築基準法改正

従来の建築基準法では、最高高さが13mを超える、もしくは軒高が9mを超える建築物は、耐火建築物にする必要がありました。2019年の改正では軒高の制限が解除され、防火地域、準防火地域以外で最高高さ16m以下であれば、その他の建築物として設計できるようになりました。

改正後、防火地域、準防火地域以外で大規模木造を計画する場合、これまでのような防耐火要求を満たす必要がなくなることから、設計の自由度やコストパフォーマンスが向上します。

関連記事:木造でも高さ16m以下であれば防耐火要求無し!改正建築基準法の解説

2019年の建築基準法改正により、次の建築物について、都市計画で定められた建ぺい率の上限値に10分の1 を加えた数値を建ぺい率の上限値とすることができるようになりました。

1.防火地域(建ぺい率の上限値が10分の8の地域を除く)内にある、耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物(以下、「耐火建築物等」という)

2.準防火地域内にある、以下の建築物

・耐火建築物等

・準耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物(準耐火建築物等)

延焼防止性能を有する建築物は、周囲への延焼を防止するために壁、柱、床その他の建築物の部分及び防火設備に必要とされる性能に関して、建築基準法第61条に基づく政令で定める技術的基準に適合する建築物で、同条に規定する構造方法を用いるもの又は同条の規定による認定を受けたものとなります。

関連記事:準耐火の適用範囲拡大は中大規模木造の追い風に!改正建築基準法の解説

木造 防耐火

大規模木造として耐火建築物をSE構法で実現するポイント

大規模木造として耐火建築物をSE構法で実現するポイント

大規模木造として耐火建築物を実現するためには、SE構法は最適な構法です。構造設計から構造材の材料供給、施工のサポートまでワンストップサービスで提供できるからです。高齢者施設を木造(SE構法)で計画するメリットは主に下記です。

 

1.木造耐火建築物の重量アップにSE構法は対応できる(構造躯体の強さ)

木造で耐火建築物で設計する場合、せっこうボード等の使用量がかなり増えることにより建物重量が重くなります。他の木造の工法では耐震性能の確保が難しくなったり、壁や柱が増えることにより設計の自由度が損なわれることがあります。SE構法は立体解析による構造計算と構造躯体の強度が強いことから、木造の耐火建築物にも問題なく対応できます。

関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施

 

2.コストの優位性(鉄骨造と木造の比較)

構造で木造(SE構法)を選択することで、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して基礎や構造躯体のコストが安くなります。外壁仕上げには住宅用サイディング、窓は住宅用アルミサッシなどを使うことで、建材費や施工費も抑えることができます。

関連記事:「中大規模木造の建設費の概要とコストを抑えるポイント」

 

3.SE構法の構造設計(設計の自由度)

SE構法は構造用集成材の中段面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。スパンが10mを超える空間は、特注材の他にトラスや張弦梁を活用することが可能です。

関連記事:SE構法による大開口、大空間、大スパン、木造耐火の事例まとめ

 

4.木造に精通した構造設計者に依頼(SE構法は大規模木造に適している)

SE構法は単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。SE構法は剛性のある木質フレームに囲まれた耐力壁を併用することで、耐力壁の性能を最大限生かすことが可能となり、壁量を少なくできます。SE構法は木造でも明確な構造計算に基づいているので、設計者は安心して意匠設計に集中できます。

関連記事:「中大規模木造に適した技術と自由があるSE構法の構造設計」

 

5.木造におけるワンストップサービス(SE構法は使い勝手が良い)

SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。大規模木造では工法に関わらず、「木造の構造躯体の施工の担い手」を確保する必要があります。SE構法であれば、構造躯体の施工だけをSE構法登録施工店に依頼する「建て方施工」という方法もありますので、施工会社選定の選択肢が大きく広がります。

関連記事:「SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説」

 

まとめ

木造で施設を計画する際には、建築基準法に加え、関連する条例等を遵守することが求められます。

法律や条例等は常に改正されていきますし、その解釈や運用については該当の行政窓口や指定検査確認機関等により異なりますので、本コラムの内容は「記事掲載時の一般的な考え方」であることのご理解、ご了承をお願いします。

建築実務者の皆様においては、常に最新の法規等の情報をチェックしつつ、該当の行政窓口や指定検査確認機関等によく内容を確認をしてから設計や施工を進めていただくようお願い申し上げます。

 

NCNでは、大規模木造に取り組む設計者・施工者のために「大規模木造オンラインセミナー」を開催しています。大規模木造に関するさまざまなテーマをオンライン形式で皆様にお届けするセミナーです。

興味があるテーマのセミナーを自由に選択していただき、受講することが可能です。毎回、テーマを変えて大規模木造に関する情報提供をさせていただきます。本セミナーは下記リンクより動画で視聴することが可能です。

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・大規模木造に取り組むことは、決して難しいことではない

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NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。計画段階からご相談いただくことで、木構造デザインの木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談いただくことで、合理的に設計を進めていただければと考えております。

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関連:「耐震構法SE構法」へのご相談はこちらです。

 

また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。

関連:「木構造デザイン」へのご相談はこちらです。

 

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