株式会社エヌ・シー・エヌ

海外での活動OVERSEAS

日本の木造技術は海外からも注目。海外にも新たな提案をしています。

昔から日本の木造技術は、海外からも注目されていました。そして、現代。「耐震構法SE構法」は新しい木造のかたちとして、海外に日本の技術を提案しています。耐震技術は海外でも通用するのか。住宅の生産プロセスも海外で通用するのか。そんな疑問から、エヌ・シー・エヌでは、海外にも提供しています。

日本の木造金物技術がユーロ圏で認められました。

2013年6月下旬、イタリア・ヴェネツィア郊外にて、 SE構法による地上2階建ての住宅が上棟されました。SE構法が海外で採用されるのは初めてのことです。

採用までの経緯

イタリア・レアビタ社の代表、フランチェスコ・モンタニアーナ氏が、SE構法に着目したのは5年ほど前のこと。もともと、1992~96年に東京大学大学院に留学中、日本の木造技術を学び、ヨーロッパに持ち込みたい、と考えるようになったそうです。 2008年、モンタニアーナ氏が来日し、エヌ・シー・エヌの田鎖社長と会見。特に日本の木造金物工法の中でも、耐震性の高さ、CAD・CAMにおける資材等の供給システムなどに優れたSE構法を高く評価し、地震国・日本における信頼性と実績からSE構法の採用を決定することに。

イタリアにおける需要

イタリアにおける伝統的な構法は、石などを積んでいく組積造ですが、経済状況の悪化に伴い、比較的低コストな木質系構造への需要が高まっています。2009年にはイタリア中部地震が発生。大きな被害があり、耐震基準も改正されることに。世界的なエコ意識の高まりもあって、低環境負荷で高耐震というSE構法のような木質系構造に対してイタリア国内における関心が大きくなってきています。

法規制の違いもクリア

今回の建物は、2棟が長屋のように連続した床面積500m²の2階建て。半分を施主の住居、残り半分を賃貸にするというものです。もともとRC造で計画されていた間取りをそのまま、SE構法の構造に置き換えました。「6mのスパンで構成された部屋もありますが、これは木造ではSE構法でしかできません。SE構法の特徴を生かした間取りでしたね」。プロジェクト責任者であるエヌ・シー・エヌ設計部・福田浩史はこのように語ります。
建築にあたっては、日本の建築基準法に相当する、ユーロ圏のEurocode5「木構造の基準」とEurocode8「耐震性の基準」をクリアする必要がありました。

「イタリア中部地震以降、国内の基準が改正され、許容応力度計算だけでなく、大地震を想定した終局強度(最大応力度)の数値も求められるようになりました。それでも、当社ですでに持っていた試験データを提供するだけで、あとはほぼ日本におけるSE構法のままでクリアできました」(福田)。

言葉の壁を超えるマニュアル

今回のプロジェクトでは、日本からのスタッフは2人だけで、施工についてはほとんど現地の職人だけで実施されました。事前にSE構法の施工マニュアルをレクチャーしておいたこともあり、「想像以上にスムーズに運んだ」(福田)といいます。図面や構造材などの印字は日本語のままでしたが、現場で職人たちは日本の文字を記号として認識して、適切に施工を進めていったそうです。日本の伝統工法のように、大工の腕や勘に頼るようなものでは、海外で現地の職人に教えることはできません。システム化されたSE構法のような構造システムだからこそスムーズな施工が可能に。

「"現場はお客様のもの"という意識が高く、ドリフトピンの打ち方も丁寧でした。床パネルを設置するとルーフィングで養生するなど、部材を大切に扱っていました。あの姿勢は見習いたいですね」(福田)。

ユーロ圏でも認められた「耐震構法SE構法」

今回は、ユーロの高騰もあり、専用金物や集成材などは日本から輸出しました。集成材は欧州赤松をヨーロッパから輸入して日本で加工した後、イタリアへ搬入するというプロセスをとることに。SE構法だけでなく、プレカットについても日本の技術を提供することができました。
ユーロ圏では、サステナブルな建築物への取り組みが進んでおり、パッシブなどの技術が日本で採用されています。 「すでにレアビタ社にはオフィスや店舗などについての問い合わせも寄せられているそうです。ユーロ圏へ輸出できる日本の技術があってもいいですよね」(福田)。 地震国・日本の耐震構法が、ユーロ圏で認められたことは、国内で1万棟以上の実績があるSE構法が認められた大きな一歩です。

  • ①基礎全景。
    日本と同様に先行足場を設置して、安全性を確保した。

  • ②土台のアンカーボルトの設置部分
    座彫りしている様子。アンカーボルト設置後は、オートレベルにより、柱脚金物のレベルを全数チェックした。

  • ③ドリフトピンの打ち方を指導。
    現地の職人は材料の扱いが丁寧で、正確にドリフトピンを打っていった。

  • ④1階の管柱を間配りしたのち、図面通りに設置。
    現地で手配したクレーンの性能に合わせ、手前と奥で施工ブロックを分けて、組み立てていった。

  • ⑤通し柱を設置している様子。
    構造材へのハンガーボルトの打ち込みも現地で行ったが、支障なく仕上げることができた。

  • ⑥梁を設置している様子。

  • ⑦床梁と床パネルを1階から見上げたところ。このまま表し仕上げとなる予定。

  • ⑧2階の床パネルが設置された後、養生のため、ルーフィングを敷設。イタリアの現場における慣習が採用された。

  • ⑨屋根部材が施工されている様子。
    SE構法のマニュアルにしたがって、スムーズに工程を進めることができた。

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