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2020/02/12インフォメーション

SE登録施工店を対象とした「省エネ実体調査」結果報告 〜省エネ基準をクリア。更に今後施行される注文住宅トップランナー制度の基準値も既にクリア〜

木造耐震設計事業において高度な構造計算と、独自の建築システム「SE構法」により住宅から中大規模木造建築物を提供する株式会社エヌ・シー・エヌ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:田鎖郁男、以下、エヌ・シー・エヌ)は、建築物省エネ法改正にさきがけ、登録施工店が供給する住宅の省エネ性能について実態調査しましたのでご報告いたします。

■調査結果
調査結果は下記のとおりで、高性能であることが確認できました。
外皮性能:UA値 平均0.58
日射取得性能:ηAC値 平均1.6
エネルギー消費量:BEI値 平均0.78

■調査の目的
循環型社会への世界的な取り組みの中で、建築物における省エネルギー対策の抜本的強化は必要不可欠です。一般住宅においても建築物省エネ法改正により、
① 大手事業者をトップランナーとした設計一次エネルギー消費量(BEI値)等の強化
② 住宅について省エネ基準の適合説明義務化(2021年4月から)
が求められています。

本改正を契機として工務店においては、大手事業者のトップランナー制度への対抗と、省エネ・快適な住まいの性能について自社の取り組みを把握し、顧客へいかに明確かつ客観的に説明できるかが、今よりまして受注に影響していくものと思われます。また、国の調査では工務店が供給する住宅の半分は省エネ基準に適合しないという調査結果を示しています。

そのためエヌ・シー・エヌでは工務店ネットワークを活かし、SE登録施工店が供給する住宅の省エネ性能について、各々の省エネ性能のポジションを把握して更なる性能向上を促すことを目的に調査を行いました。

【調査概要】
調査対象数 :SE構法登録施工店125社、138事例
      ※省エネ地域区分は5地域、6地域がほとんど130件(全体の94%)
対象物件 :SE登録施工店が直近1年以内に供給、または今後供給する予定の新築戸建住宅
調査内容 :外皮性能、日射取得性能、一次エネルギー消費量他
必要資料 :各種図面・仕様書
実施時期 :2019年9月~2019年11月(1次)、12月(2次)

【調査結果詳細】
・外皮性能(UA値)
外皮の断熱性脳を示すUA値平均は0.58(ZEH基準は4~7地域なら、0.6以下)。
以下のとおり、外皮性能は高性能であることが確認できました。
・省エネ基準は軽く達成(全体の99%が達成)。ZEH基準も達成(全体の60%が達成)。
・HEAT21のG1レベル(5地域で0.48、6地域で0.56)では36%が達成。


     【図1 UA値分布図】 N=138(※小さいほど(左にいくほど)良い)

・日射取得性能(ηAC値、ηAH値)
省エネルギー性に加え快適性の観点からも「夏にいかに日射を遮るか(ηAC値)、冬にいかに日射を取り入れるか(ηAH値)」が重要です。
ηAC値については、平均1.6と基準値(5地域で3.0、6地域で2.8)に対して高い性能を示しました。
なお、冬の日射取得のηAH値は単独値としての省エネ基準はありませんが、一次エネルギー消費量や快適性に大きく影響します。ηAH値は平均2.0で、SE構法の、構造計算に裏付けされた大きな開口部を南面に配置することができるという特長を生かすことが省エネにつながることも確認できました。

     【図2 ηAC値分布図】 N=138(※小さいほど(左にいくほど)良い)


     【図3 ηAH値分布図】 N=138(※大きいほど(右にいくほど)良い)

・エネルギー消費量(BEI値)
BEI値の平均は0.78であり、注文住宅のトップランナー制度に課せられた基準、当面0.80を既に満足しています。また、ZEH基準0.80も同様に満足している水準であることが確認できました。

     【図4 BEI値分布図 大手戸建事業者との比較】
     ※登録店戸数N=129/大手事業者戸数N=119531。大手事業者の%は国土交通省HPより(中央値にて試算)。
     (※小さいほど(左にいくほど)良い)

【総論】
それぞれの省エネ性能に関して、注文住宅トップランナー制度の基準やZEH基準を満足する優れた数値であることが確認されました。 しかしながらその上をいくHEAT21では、G1レベルの達成度36%、G2レベル7%と更なる向上が求められます。また、省エネ基準の各性能指標に対して、地域の気候等を考慮したバランスの良い措置が必要です。

     【図5 UA値×BEI値のグラフ】 ※N=129

【工務店の声】
当調査結果の全体像と個々の工務店の性能値のポジションのフィードバックを行った結果、工務店からは次のような意見があがりました。
・当調査結果のフィードバックにより自社の省エネ性能のポジションがわかり、今後の改善を行うべきポイントが確認できた。
・自社の住宅の省エネ性能や快適性を改善するに当たり、的確なアドバイスが欲しい。
具体的なものとして、更なるお客様訴求、差別化のためにG2レベル(6地域でUA値0.46)を目指すべきことが弊社で必要と理解したので、どのような仕様が妥当であるのか、当調査結果を踏まえた的確なアドバイスが欲しい。
・省エネ性能を上げることやそのバランスが重要であるが、コストも考慮する必要があり、総合的な情報が欲しい。
・省エネ基準の性能のほか、日当たり、風通しなど自然活用の観点も改善し、顧客に訴求したいので、調査の充実を希望する。

【今後の調査継続に際して】
省エネ法改正の完全施行を前に、住宅の省エネレベルはまさに動いている状況であり、継続した調査が必要です。
本調査を125社から更に拡充すべく、未調査のSE登録施工店へ呼びかけていきます。
また、登録施工店以外の一般の工務店にも同様の調査が必要と思われることから、調査対象を広げて垣根なく受託すべく、関係機関に呼びかけていくこととします。
エヌ・シー・エヌは、今後省エネルギー性能に係る工務店支援として次の施策を講じていきます。
① 省エネルギー性能や室内温度予測、光熱費予測などが付帯する「省エネルギー計算サービス」の充実
② 省エネルギー実態調査の継続・拡充とフィードバック。調査は通年、フィードバックは、半年毎実施
③ 工務店の省エネルギー性能改善のためのアドバイス
④ 工務店が省エネ、快適などを説明できるツールの充実
⑤ 有識者や関係機関との連携のもとセミナーや個別コンサルティングの充実

安心・安全な木構造を普及させること、資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくることで、日本の豊かな暮らしの実現に取り組むエヌ・シー・エヌが目指すのは、耐震性能、省エネ性能の高い住宅です。
本調査とそれに関わる工務店支援は、地域を支える地場工務店の新たな活動の幅を広げ、ひいては顧客の快適で健康な生活に貢献できると考えております。「10年先も資産価値のある家」がスタンダートになるべく、その担い手である工務店とともに技術、性能の向上に取り組んでまいります。

 

(参考)ηAC値とηAH値
夏涼しく、冬は暖かという家では、このηAC値を小さくし、ηAH値を大きくするために、太陽光の高度等を考慮した庇など設計上の工夫を行っており、暖冷房を使わない場合の室温に表れます。
自然エネルギーを最大限有効に使い、快適で健康的な室内環境を省エネルギーで実現しようとする手法を、一般的にパッシブデザインと呼んでいます。

      【参考図 パッシブ住宅イメージ図】

(参考)上位ランキング(実物件) ※集計は1次調査分より。
① UA値
  第1位 オーガニックスタジオ  0.39
  第1位 楠亀工務店       0.39
  第3位 吉川不動産       0.40
② BEI値
  第1位 ECOHOUSE  0.56
  第2位 浅井良工務店    0.59
  第2位 楠亀工務店      0.59
  第2位 三和建設      0.59
③ 総合(UA値・ηAC値、ηAH値各偏差値合計順位)
  第1位 吉川不動産
  第2位 EMSS
  第3位 浅井良工務店

(参考)省エネ基準の各指標の解説
① UA(ユーエー)値
その建物の熱貫流率の平均値を示すもので、この数値が小さいほど「その建物の断熱仕様が平均的に良い」ということになります。当然ながら断熱仕様が平均的に良ければ、冬に外皮から逃げていく熱(熱損失)が少なくなります。
外壁、天井又は屋根、1階床の断熱材の性能や窓の性能、建物形状により、UA値が定まります。
② ηAC(イータエーシー)値
夏におけるその建物の日射熱取得率の平均値を示すもので、この数値が小さいほど「その建物の日射遮蔽性能が良い」ということになります。当然ながら日射遮蔽性能が良ければ、夏に外から入ってくる熱(日射熱取得)が少なくなります。
ηAC値は「夏の涼しさ(冷房に必要な除熱量)」を決める数値です。この数値は「床(基礎)以外の断熱仕様が良い」「窓の日除けの工夫が行き届いている」という建物であるほど小さくなります。
③ ηAH(イータエーエイチ)値
冬におけるその建物の日射熱取得率の平均値を示すもので、この数値が大きいほど「その建物の日射取得性能が良い」ということになります。当然ながら日射取得性能が良ければ、冬に外皮から入ってくる熱(日射熱取得)が多くなります。
ηAH値はUA値(Q値)に加えて「冬の暖かさ(暖房に必要な熱量)」を決める重要な数値です。この数値は「南面に窓が多い」「窓の日射取得性能が高い」という建物であるほど大きくなります。
④ BEI(ビーイーアイ)値
BEI値は次の式で計算されます。 BEI=設計一次エネルギー消費量/基準一次エネルギー消費量
ここで「設計一次エネルギー消費量」とは、その建物での一次エネルギー消費量のことであり、「基準一次エネルギー消費量」とは、その建物の地域や大きさなどによって国が定めた数値です。BEI値が小さいほど「省エネルギー性能が高い建物」と言えます。
BEI値を小さくするには、「建物の外皮性能を良くする」「暖冷房する時間を短く設定する(連続暖冷房ではなく間欠暖冷房にする」「暖冷房する範囲を小さくする(とくにLDKにつながる空間を小さくする)」「省エネ設備を入れる」「給湯器を高効率なものとする」「照明をLEDとする」などといった工夫が必要です。

 

■株式会社エヌ・シー・エヌ  会社概要
https://www.ncn-se.co.jp/
代表者:代表取締役社長 田鎖郁男
所在地:〒108-0075 東京都港区港南1-7-18 A-PLACE品川東
設立:1996年12月11日
資本金:3億8,756万円
従業員数:89名(構造設計一級建築士4名、一級建築士12名、二級建築士11名)※2019年11月末時点
事業内容:
- 木造耐震設計事業
     ・住宅分野・・・ネットワーク展開
              ハウスメーカー対応
     ・大規模木造建築
- その他
     ・新規事業・・・温熱エネルギー計算サービス
     ・住宅ローン事業
     ・BIM事業
関係会社:
・SE住宅ローンサービス株式会社
・株式会社MAKE HOUSE
・株式会社MUJI HOUSE(無印良品の家)

                                                            
■本リリースへのお問い合わせ
株式会社エヌ・シー・エヌ 新規事業部 担当:伊福・小出・田中
TEL:03-6872-5636  FAX:03-6872-5773 mail : press@ncn-se.co.jp

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