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2011/12/10インフォメーション

島建設株式会社

「年間10 棟までしかやりません」。
島建設のホームページを開くと
こんなフレーズが目に飛び込んできます。
広告も見学会もほとんどせずに
遠方から顧客がやってくるという
人気の工務店ですが、軌道に乗るまでは
相応の助走期間があったそうです。
今に至るまでの奮闘の日々をうかがいました。

2003 SE構法との出会い
これが本当の
注文住宅だよなあ

島建設は神奈川県横須賀市を本拠とする工務店。昭和48 年の設立以来、土地を買って上物を建てて販売するという、分譲住宅の事業を中心に手掛けてきました。しかし、開発が進むうち、地元周辺ではじょじょに土地物件も限られてくるようになり、分譲事業だけでは行き詰まりが予想される状況に…。
 現在、同社の注文住宅関連を一手に取り仕切る専務の細田伸令さんが入社したのは、そんな時期でした。細田さんはもともとは土木畑の出身で、地方のゼネコンで現場監督を務めたのち、島建設へ加わります。
「ゼネコンでの仕事に夢を感じられなかったんです。トンネルや橋梁など規模の大きい仕事はしていましたが、自分のやりたいこととは思えなかった」と細田さん。
 " 野丁場"と呼ばれるゼネコンの業界と、" 町場"の工務店の世界とでは、仕事の内容も流儀もまるっきり違います。細田さんは、現場で職人さんの手伝いをしながら、体ごとぶつかって工務店の段取りを覚えていきました。「何もわかっていないのがよかったのかもしれません。現場を掃除するのでさえ楽しかった」。
やりがいを見いだした細田さんはすぐに建築士の資格も取り、分譲住宅のほか、少しずつ入り始めた注文住宅の設計も手掛けるようになります。当時、同社ではある金物工法を採用していましたが、細田さんの目からは「普通の軸組構法に毛の生えたようなもの」としか見えず、納得のいくものではなかったとか。
「でも、それなりに忙しかったので、あまり深くは考えていませんでした。あのころは公共事業からリフォームから、地元で出てきた仕事は何でもやっていましたから。得意な分野もなく、大衆食堂のような工務店でした」。
 そんなある日。以前から顔見知りだったNCN の営業担当者に誘われて、セミナーに足を運ぶことに。
「あ、これだ!」。細田さんはピンとくるものを感じたとか。
「構造計算の裏付けがあって、すべてに理由とルールがある。腑に落ちました。それまで私たちが扱っていた在来工法は、現場の勘と経験でおさめていたようなものだったので、SE 構法のシステムが新鮮に感じられたんですね」。
 他の登録施工店の作品例にも大いに刺激を受けた細田さん。「"これが本当の意味での注文住宅だよ
なあ"と感じ入りました」。
 坪いくらで間取りと仕様はこうで、と既成概念にとらわれた今までの家づくりとはまったく異なる住空間が、そこにはありました。「方眼紙に簡単に間取りが書けてしまうような設計とは違いますよね」。当時を振り返って細田さんは苦笑。

2006 1棟目受注まで
いつかはできる。

絶対将来性があ
そんな感動と興奮が冷めやらぬ2003 年7月、同社はSE 構法に登録。しかし、それまで在来の工法を中心に扱ってきた工務店であるだけに、すぐに切り替えられるわけもありません。「1棟目を受注するのが難しかったですね。足かけ3 年かかりました」。
 顧客に「こんな構法がある」と勧めてはみるものの、実際に施工例があるわけではなく、細田さん自身も、どうアピールすればSE 構法のよさが理解してもらえるか、まったくの手探り状態。
 顧客との打ち合わせの場でさりげなく勧めてみても「コストが高い」と価値を認めてもらえなかったり、自由度の高いSE構法の住空間をうまくイメージしてもらえなかったり。" 構造"という表面には見えないものに対する一般層の関心もまだ高くなかった頃であっただけに、細田さんは苦戦の連続でした。
 いいものであるのはわかっているのに、いいものを顧客に提供したいのに、でもその思いが届かない。さぞ苦しかったことでしょう。
「でも焦りはなかったですね。いつかきっと受注できると思っていました。在来工法に比べて将来性があると確信していましたから」。当時を振り返り、細田さんは真っ直ぐにこう言い切ります。
 その間も分譲住宅の仕事をこなしつつ、施工管理技士の研修に参加したり。細田さんは" そのとき"に向けて、着々と準備を重ねていました。

 そして2006 年の夏に待望の"1棟目" を受注することになります。建て替えを検討していた顧客にSE構法による3 階建ての提案を行ったところ、見事受け入れてもらうことができたのです。
 車が趣味の顧客のため、ビルトインガレージを設け、屋上にはルーフ
バルコニーも用意。「私としても正直、そろそろSE 構法の設計をやってみたかったので、従来の在来工法ではできないようなことをいろいろプランに盛り込みました。それがお客さまには新鮮に感じていただけたようです」。
 顧客の職業はエンジニア。建物の仕組みや構造にも理解と関心があり、細田さんの建築的なアイデアを真正面から受け止めてくれました。設計段階ではお互いに手探りの状態から大いにディスカッションして、打ち合わせが進んでいきました。
「SE 構法の骨組みを生かした立体的なプランとなったので、お客さまには図面だけでは空間がイメージしにくかったかもしれません。でもその分、家ができあがったときには、とても喜んでいただけましたね」。

2006 2 棟目受注後
ちゃんとやっていれば
間違いがない
 
 

SE 構法ならではの見せ所がいっぱいの1棟目は、住宅雑誌にも掲載され、見込み客に対する格好の作品例となりました。2 棟目の受注はその半年後。1階に80 代の親世帯、2 階に子世帯が住む2 世帯住宅です。敷地が限られていたものの、SE 構法を用いることで1階は
間仕切り無しの開放的なワンルームLDK、2 階は大きなロフトを設けてゆとりのある住まいに。

 

「この辺からSE 構法の生かし方がつかめてきたような気がします」と細田さん。そのあたりから年に2 棟ほどのペースでSE 構法の受注がとれるようになり、分譲でもSE 構法の区画を設けるようになりました。
「この頃に手掛けた変形敷地における歯科医院の仕事も印象に残っています。間仕切りの無いオープンな空間設計ができ、他のハウスメーカーのプランより床面積を多く確保できたのがお客さまに好評でした(笑)」。
 在来工法からSE 構法に切り替わる過程では、大工・職人など現場での施工者へのケアも必要でした。
「在来工法では現場でおさめてしまえばいい、という面がありますが、SE 構法ではそうしたアバウトな部分を否定することになる。よく話し合って意識を変えてもらいました。SE 構法の現場が増えていったので、彼らも慣れていってくれましたね」。
 在来工法だと金物の種類などもまちまちで、構造設計にも手間がかかります。しかし、SE 構法ならNCNのバックアップがあります。
「基礎伏図なども自分で作成しないですむので助かりました。基礎の業者にも正しく伝わる。現場にいちいち足を運ばなくても、手元にある図面をもとに電話で打ち合わせすることができる。ちゃんとやっていれば間違いなく施工が進むというのはありがたいことですよ。おかげで作業時間もストレスも大幅に削減することができました」。

2007 葉山の家竣工後
仕事の種類や範囲が
広がってきた

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SE 構法を扱えるということで、設計事務所からの仕事も増えてきました。そのターニングポイントとなったのが、networkSE にも掲載されたことのある「葉山の家」。徹底的にデザインにこだわり、町場の工務店とはまたひと味違ったおさまりのノウハウは、細田さんにとって大いに勉強になったとか。
「建築家の方の意匠設計を見てしまうと、ありきたりのデザインでは納得できなくなりますね」。設計事務所からの仕事はコストや工程の管理が厳しかったものの、SE 構法の可能性を実感させることになりました。
 「葉山の家」以降、設計事務所との協働作業を繰り返すうち、受注地域も首都圏へと広がっていきます。
「ここに至るまで8 年必要でした。最近になって、ようやくうまく回るようになってきたような気がします。やはり甘くはないですね(笑)」。
 先輩ビルダーの作品例を理想に抱く一方、同時期に登録した工務店とも折に触れて情報交換し、励まし合いながら乗り切ってきました。
「商圏関係なく話し合える関係なので、刺激を受けますし、参考になりますよね」。先行きの不透明な住宅業界でも、お互いに見える範囲で将来に目を凝らす仲間の存在が、細田さんの迷いや悩みを軽いものにしてくれているようです。
 

 

 

2011 これから
建てたい人の
家づくりを助けたい

現在、同社の細田さん以外のメンバーは不動産を担当する島和弘社長、事務の女性社員2名と少数精鋭。住宅に関する仕事は、接客、営業から、設計、現場管理まで細田さんがひとりでこなしています。
 「営業については今でも苦手です」と細田さんは笑います。しかし、同社ではチラシ・広告はほとんど出さず、見学会も長期優良住宅の場合のみ。顧客は、住宅雑誌に掲載された実例やホームページ、口コミを頼りに問い合わせてきます。SE 構法の家を建てたくて、事前に下調べをきっちりしてくるような人が大多数。
「ハウスメーカーや工務店を何軒も回った人たちが多いですね。提案に納得できなかったり、予算などで断られてしまったり。ここで私が断ったらもう建てられないんじゃないかって(笑)。だから" できません" ではなく、つい"やってみましょう"と言ってしまうのです」。それは、入社当時に「何でも手掛けた」という細田さんの対応力の幅広さの表れなのかもしれません。
——
 今考えているのは、予算2,000万円台または、1,000万円台後半のSE構法の家。「これが方法論として確立できれば、また面白くなるかな」。 細田さんは、超えるべきハードルをまたひとつ見つけてしまったようです。
 
 

 

島建設株式会社
〒239-0803 神奈川県横須賀市桜が丘2-1-1
http://www.shima-kensetsu.co.jp
info@shima-kensetsu.co.jp

 

 

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