2009/09/24インフォメーション
株式会社北島工務店『全棟SE構法の長期優良住宅を推進』
昭和40年に創立した北島工務店は創業時、川崎市を拠点に、注文住宅を主な業務としてきた。住宅建築で培った技術力で、事業系建築へと業務も幅広く拡大。
改めて、住宅やリフォーム工事分野で、さらにお客様へ自信を持って勧められる建築を模索していたという。
「NCNへの登録は9年前。我々、技術屋としては、構造計算の裏付けがきちんとあることが、何よりの決め手でした。延床200坪を超える大規模かつ複雑な躯体でも、片押しで建方が進められ最後の部材まで狂い無く納められる精度の高さは他に類を見ないもので、お客様の満足度が高まる構法だと思っています」(同社・千葉茂・企画設計グループリーダー)
3年前に竣工したN邸はSE構法の特徴である、大空間、大開口を見事に生かし、301・13㎡という広大な建築面積の住宅を完成させた。
「北島工務店さんは、先代からのお付き合いもあって、SE構法の話しは以前から提案されていたんです。地元では十二神社も手がけている工務店なのでお仕事には信頼があり、そこが勧めるSE構法ならと、広い敷地を生かして平屋で建築。壁に遮られることのない広いLDKを造ることができて大変満足しています。木や珪藻土などの自然素材は住まい心地が良く、先日、大きな地震があったときは、ほとんど感じませんでした。安心が実感できました」(Nさん)
「この家は、きちんとメンテナンスを重ねていけば、100年、200年と維持できる自信があります。ですからSE構法には今後さらなる開発を期待します。例えば、金物工法らしい梁見せに関して、ドリフトピンの見え方の統一など意匠として仕上がりを意識してほしい。また、エクステリアに使える集成材の接着剤の開発。近年は集合住宅や優良老人ホームなどの大規模物件への需要も見込んでいます。我々は、ありきたりなアパートや事業系建築でなく、木をデザインとして見せる提案をしたい。また、住宅に関しては標準的に長期優良住宅を提供していきたいと考えています」(千葉氏)
神奈川県を中心に建築を営んできた「北島工務店」は、ビルや公共施設、住宅などを手がける一方、神社や寺院なども手がけています。昭和40年の創業以来、着実な事業展開の評価によって、そういった地元の特殊な建築物への依頼が舞い込んだとのことです。同社、千葉茂さんは次のように語ってくれました。
「神社仏閣等の伝統的な木造建築を建築しようとするとき、現在の建築基準法が大きな壁になります。
ひとつは[構造耐力上主要な部分である壁、柱及び横架材を木造とした建築物にあっては、すべての方向の水平力に対して安全であるように、各階の張り間方向及びけた行き方向に、それぞれ壁を設け又は筋かいを入れた軸組を釣り合いよく配置しなければならない]と規定しています。
一般的にイメージする神社仏閣等の建築、とりわけ寺院の客殿等はけた行き方向の壁は極端に少なく、柱と障子等の建具が配置されます。そして太い柱列が大屋根を支えているという姿を思い浮かべます。
耐力壁を「釣り合いよく配置する」という規定を満足させるためには、多くの壁を設けることになり、強いてはこれらの宗教的建築物がもつイメージを大きく損なう結果になりかねません。SE構法はこの難題を一挙に解決してくれました。
もう一つの規定は[構造計算を行い、各階について張り間方向及びけた行き方向の偏心率が0.3以下である]ことを確認すれば、壁量充足率及び壁率比に関する規定の拘束が無くなりますとしています。全て構造計算をするSE構法は正に時宜を得た構法と言えます。
建築基準法の制約及び伝統的工法による場合の多額建設費などの理由で、構造体を鉄筋コンクリート造や鉄骨造にせざるを得なかった計画が、多数あったものと推測できます。
大規模伝統的建築物の構造体は、やはり木構造が全ての納まりに最適であると確信します。これからの大規模伝統的建築物の建設に際し、構造的な安全及びコストの点で、SE構法は大いに寄与すると思います」
SE構法によって建て替えられた社の評判を聞きつけて、訪ねて来られるケースも増えており、2010年には新しい試みとして、木軸耐火建築物の実現を目指すといいます。腕利きの宮大工さんが減少しているなか、SE構法は伝統建築の新しい担い手として期待できそうです。