OB 宅を突然、訪ねたりもします。
それができる関係を築けていると思うから。

「たとえローコスト住宅で成長しても一過性のものにすぎません。安さを目指すよりも独自の工法を獲得し、建物の良さで勝負したい。そんな思いでSE 構法にチャレンジすることにしたんです」
　そう語るのが明治ホームズの榎俊二さんだ。同社が勝負するエリアは都心に近い、通勤の便も良い、さらに閑静な住宅地という梶ヶ谷駅周辺。そのため人気は衰えることなく、地代も高値を維持している。その結果、地代が物件の7 割を占める。
　「結局、価格のしわ寄せは建物にきてしまう。でもいい物件を作ることはモデルハウスを増やすことでもありますからね。だから、一棟たりとも気は抜けないです」。

　SE 構法を始めた理由がもうひとつ。
それは同社の物件に、狭小地や木造3 階建てといった条件が多いことにある。
　「どうやってもムリな間取になり、SE 構法でないと成立しないケースが多いんです。それに3 階建てなら申請もスムーズですから、むしろ使ってほしいと思っています。いまではSE 構法ができることが、明治ホームズの強い武器になっているんです」

　現在、注文住宅の約半数がSE 構法を採用しているそうだが、
当然ながらなかには、決めかねている顧客もいる。
　「資料やDVD を始め、集成材を見せたり、できるだけ具体的な話をするようにしています。そろそろ傾いてきたな～と思ったときの切り札がNCN の田鎖社長の書いた『三匹の子ぶたが間違っていたこと』。僕自身も読んで勉強になったこともあって勧めているんですが、このとき大事なのが“ あげる”ではなく“ 貸す”と言うこと。借り物と思えばちゃんと読んでくれますから。この切り札での決定率は非常に高いんですが、本はほとんど返ってこないんですよ」

榎さんの表情は楽しい話題はもちろん、暗い話も笑顔で切り返してくる。
　「家づくりは手間ばかりかかって、儲かりませんね～」とのセリフも笑顔付きだ。笑うのは気が弱いから、とは本人の評価。
　「基本的にお客さんの言うなりですよ。強く言われると反射的に頷いてしまうし、“Eさんはクルマとペットの話をすると気を良くしてサービスする” なんてネットに書かれるくらい性格も見抜かれてますから」。そんな人柄にファンも多いようだ。また
「建てっぱなしにしない」というポリシーのもと、OBたちとも良好な関係を続けている。
「アポなしで訪ねるので、迷惑そうな顔をされることもありますけどね」と言いつつ、
家を大事に使ってくれていることがわかると嬉しさもひとしおだとも語る。
　「なかにはあんなに一生懸命やったのに……というがっかりな例もありますけどね」。
　そうしてまた笑顔になった。

明治ホームズの主たる顧客は30 代。
物件価格は2000～3000 万円( 約30 坪) となっている。
スタッフは全員が現場監督も兼ね、一人の担当者が最初から最後まで担当する。
榎さん(左)が「営業のエースですよ」と褒める佐藤さん。
愛犬モカちゃんが登場する名刺は「お子さんに渡すために作ったんです」。子どもに好かれるのは契約の第一歩、である。

明治ホームズ
神奈川県川崎市高津区梶ヶ谷2-9-4梶ヶ谷メリア
TEL：044-861-0025
http://www.mjh.co.jp