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2010/01/28インフォメーション

北恵株式会社 だんじり倉庫建設をきっかけに住宅に代わる新しい市場に手ごたえ

創建365年、大阪府大東市諸福天満宮に伝わるだんじりは江戸時代末期に作られたもので、値段のつけようがないというほどの品。

 

そのだんじり倉庫建て替えの話が具体化したのは昨年の秋。

 

東諸福自治会区長、橋詰正明さんから設計依頼を受けた、氏子でもある『設計工房えぬ』主宰の中河俊久さんが当初考えたのは鉄骨造の、ごく普通の倉庫だった。

 

 

 

「諸福のだんじりは岸和田のものの倍、5m40cmもの高さがあり、重さは4t以上。大小2台のだんじりが有るため、間口を広くとる必要がありましたし、間に柱は建てられない。だんじりは木製ですから、耐火性も要求されます。その条件で建てるなら常識的には鉄骨です」

 

それに異を唱えたのは、やはり氏子でもある『大幸』の西村幸次郎さん。木でできただんじりのためには、やはり木でできた倉庫が良いという提案だ。

 

西村さんの熱意に、当時SE構法を手がけたことのなかった中河さんは半信半疑でSE構法について調べ、その可能性に瞠目する。

 

「間口の広さや奥行き、耐火の問題に加え、ここは地盤の悪いところなので、基礎は丈夫にしなくてはいけない。しかし、それらの条件を満たしたうえで木で大空間がつくれるなら面白いじゃないかと思いました」

 

 

その結果、完成したのはだんじりの飾り付けをしたまま収納できる高さ8.3m、奥行き7.2m強の倉庫。だんじりだけでなく、祭りに必要な品も収納できるよう、2階を設けてあり、内部は木が見えるようあえてむき出し。

 

 

それが空間のダイナミックさを際だたせるのか、「他の地区の人たちが見に来ては『こら、すごい』と感嘆されます」と橋詰さん。周囲からおおいに羨ましがられているのだ。

 

 

 

その好評ぶりに『北恵』営業企画部工事管理課の大西弘晃さんは将来への手応えを感じている。

 

「大東市だけでも30台はあるだんじりですが、ほとんどは鉄骨の倉庫やトタン小屋にしまわれています。神聖でかつ何億円もの品ですから、それに相応しい、安全な場所にしまいたいというニーズは確実にあるはず。今後、新しい市場として開発していくつもりです」

 

 

 

取材物件こぼれ話
 

だんじりと聞くと、テレビでも放送される、勇壮な岸和田のだんじりが有名ですが、実は大阪から兵庫にかけては多くの街にだんじりが残っており、この地域では10月ともなると、あちこちで鉦、太鼓の音が響きます。 

 

 

さてそのだんじりとは、地方によって名称、形状は異なるものの、多くはコマ(車輪)がついていて動くもののことを指し、東諸福では漢字で『地車』と表記し「だんじり」と呼んでいるそうです。関東でみられる、担ぐ神輿とは根本的に形状が違うわけです。東諸P1000205.jpg福の地車は交野、四条畷、大東、枚方、寝屋川、門真、守口、東大阪市などに見られる北河内型というタイプと聞きました。

 

 

東諸福ではその北河内型の大小2台の地車があり、いずれも総欅作り。大きいほうは5m超というサイズですから、今では、そもそもそれだけの材木が手に入らず、これから作ろうにも作れないとか。本来なら文化財級の品です。

 

驚いたのはその価格。 

地車自体には価格のつけようもありませんが、飾りに使う幕だけでもなんと2000万円。平成12年に行った地車の修理にも1200万円超はかかったそうで、地元の人の熱い気持ちがなければ、祭りはとても支えられるものではありません。そうした気持ちとSE構法の巡り合わせが今回の「100%満足」という仕上がりにつながったのでしょう。地元の魂であるだんじりを守り、ずっと大事にされるのは、建物にとっても幸せなことではないかと思います。

 

 

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