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谷尻誠インタビュー Vol.003

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建築を風景として設計したい

― 基礎のあり方が変わることで、水の上にも住宅が建てられるということですね。

谷尻 緑や水に囲まれた美しい風景として建築をつくりたいと思ったのも、この提案の原点です。設計をしていると、多くの敷地に出会います。これまで100件以上の住宅を設計させていただいたなかで、崖のような傾斜地に建てたこともあります。そのときは、独立基礎にして建設を可能にしました。基礎をコンパクトにすることで、敷地条件に建物側が追従するような仕組みができるのではないかと考えたのです。通常、基礎は建物と同じくらいの面積で設計されます。傾斜地でそれをすると、膨大なコンクリートと鉄筋が必要になり、コストもかかります。見積もりを見て減額を検討するときにも、基礎は構造安全上、手を入れることはほとんどありません。しかし、独立基礎で基礎をコンパクトに設計することで、自然とローコストに設計できるようになるのです。

水の上に浮かぶように建つ住宅。美しい風景をつくっている谷尻誠さんの「高床の低い家」ですが、
そこには、なかなか目を向けられてこなかった基礎の再考という興味深い提案がありました。

<インタビュー/文:木藤阿由子(建築知識ビルダーズ編集長) 模型撮影・渡辺慎一>